「ガザ紛争」原油価格を左右する"危険シナリオ" 蓋然性は低いが現実化すると大きなインパクト
マーケットの原油価格はどう動いたのか
10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲を受けて、マーケットの原油価格は大きく動きました。全体の原油市場の流れを把握するために、2023年6月から現状に至るまでのWTI価格を見てみましょう。
2023年6月は70ドルを切る局面が見られていましたが、徐々に原油価格が上昇しているのが見て取れます。これは7月以降からのサウジアラビアやロシアをはじめとしたOPECプラスの協調減産によって市場に下支えの力が生まれたからです。
7月以降は原油価格のグラフは上下を繰り返していますが、これは世界経済への不安からとOPECプラスの追加減産が延長されることによるものです。この時点では、原油価格を下支えしてきたのはOPECプラスでした。
しかし、10月7日にハマスからイスラエルへの奇襲攻撃があると、市場には上昇圧力がかかり、18日にイランがイスラエルに対する禁輸を産油国に呼びかけるとさらに高騰。ブレント価格では90ドル超の値をつけました。
最近までのOPECプラスの減産から、今回は地政学的なリスクが下支え要因になった、というのがひとつの特徴と言えるでしょう。すなわち、中東情勢の悪化によって原油の供給が減るのではないのかという不安から市場に「買い」の注文が入ったのです。
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