不安定な時代だからこそ、「地」を重視した地政学が有効だ。
ウクライナ、イスラエルとガザ、台湾有事、朝鮮半島の緊張──。
国際情勢はこの数年、各地でこれまでになく緊張の度合いを高めてきた。日本を取り巻く安全保障環境も同様だ。こうした先が見えない時代に求められるものは、大国の動向や紛争地域の事情などを踏まえ、自分なりの大局観や世界を見る目をどう養うかだ。
そこで有用なのが「地政学」だ。国際情勢のリスクと掛け合わせ、地政学的リスクともいわれる。
とはいえ地政学と言われても、わかるようでわからない。例えばロシアとウクライナの地図をじっくり見ても、どう読み解けばよいのかさっぱりわからない。そう考える読者もいることだろう。
1970〜80年代の日本でもブーム
実は、地政学という言葉が使われるのは、現在のように大規模な紛争・戦争が発生して国際情勢が流動化し、かつその動きの方向性が不透明なときが多い。1970〜80年代の日本でも地政学ブームが起きた。79年に旧ソ連がアフガニスタンに侵攻し、80年にはイラン・イラク戦争が発生するといった時代背景があった。
ブームの火付け役は、亜細亜大学教授だった倉前盛通氏が77年に著した『悪の論理─ゲオポリティク(地政学)とは何か』という1冊。同書は「アフガニスタン侵攻を予見した」と評判になってベストセラーになり、日本で地政学という言葉が一気に広まった。
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