世界的な需要シフトで主力市場が如実に変化している。

日立建機はカナダでダンプトラックの本格生産を始める(写真:日立建機)
ウクライナ、イスラエルとガザ、台湾有事、朝鮮半島の緊張…… 世界が混迷を極める中、「地政学」は地理と歴史の観点から、国際情勢の読み解き方を教えてくれる。『週刊東洋経済』4月20日号の第1特集は「わかる! 地政学」。地政学がわかると世界の仕組みが見えてくる!
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地政学リスクの高まりによって、米中の経済環境も大きく変わっている。その変化に業績が敏感に反応しているのが、日本の建設機械メーカーだ。
コマツや日立建機など国内建機大手はかつて「中国関連銘柄」と呼ばれていた。
2008年のリーマンショック後、中国政府は4兆元(当時の為替レートで57兆円)の景気刺激策を発表。これをきっかけに、中国国内におけるインフラや不動産などへの投資が一斉に活発化し、日系建機メーカーの油圧ショベルが飛ぶように売れた。
コマツの売上高における中国比率は、08年度10%から10年度21%になり、日立建機は08年度16%から10年度27%になった。
需要が一巡しゼロコロナ政策が追い打ち
旺盛な石炭消費も追い風となった。建機メーカーは油圧ショベルのほかに、鉱山や炭鉱で使われる超大型の油圧ショベルやダンプトラックを製造している。マイニング機械と呼ばれるこうした製品は豪州やインドネシアなどの鉱山会社に販売され、当時は石炭の最終消費地が中国だった。10年前後はこの「マイニングバブル」も建機各社の業績を助けた。
しかし、中国経済の恩恵を受けられたのはここまでだった。
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