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タダノ「北米の油ガス需要がクレーンに追い風だ」 中国の余剰生産は深刻、安値攻勢には警戒必要

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タダノのクレーン
洋上風力発電のパーツを先組みし、運搬船に積み込むタダノのクレーン。クリーンエネルギーの分野でも商機は多く眠っている(写真:タダノ)
自走式の建設用クレーンで、世界最大手級のタダノ。足元の業績は北米市場の需要拡大や為替の円安効果で好調だが、世界経済のブロック化による影響も受けているという。2021年に非創業家で初の社長となった氏家俊明氏に聞いた。

──北米市場で5割のシェアを超えるラフテレーンクレーン(不整地や狭隘(きょうあい)地向けの自走式クレーン)が、収益を牽引しています。

米テキサス州を中心とした石油・天然ガスの開発需要が伸びている影響が大きい。ウクライナ戦争の発生を受けたロシア産エネルギー資源の代替需要は高止まりが続いており、現地では石油や化学関係のプラントが続々と立ち上げられている。そのほか橋梁(きょうりょう)などのインフラや住宅の開発なども、北米全体では堅調な状況が続いている。

北米のエネルギー産業というとシェールガスの需要が下火なのではと思われるかもしれないが、当社のクレーンはそこにはほとんど使われていない。いわゆる油ガス関連の産業が主要な顧客で、例えばエタンクラッカーと呼ばれる化学材料生産設備における更新やメンテナンスに使われている。

ラフテレーンクレーンはその際の分解や組み立ての過程で必要とされており、油ガス向けの稼働状況は当面底堅いとみている。

再エネ需要拡大も追い風

再生可能エネルギーの需要拡大も追い風だ。これは北米市場に限らないが、太陽光発電ではパネルを屋根に持ち上げるにはクレーンが必要だし、風力発電はそもそもクレーンがないと装置のパーツを組むことができない。原子力発電のリアクター(原子炉)についても1000トン規模の超大型クレーンが使われており、原子力向けでは3〜4年先まで販売先のレンタル会社が需要を押さえている。

──一方で欧州市場は、19年に買収したドイツのクレーン事業子会社が翌年に事業再生手続きを申請するなど、苦戦が続いています。

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