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欧州にビザを一方的に免除した中国の狙いとは ビザから中国との二国間関係が透けて見える

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日本が再三求めても復活させないビザ免除をドイツやフランスには一方的に認めた。

ミュンヘン安全保障会議に出席した王毅氏は欧州をパートナーと位置づけた。右はショルツ独首相 (写真:Getty Images)

あれ、話が違うぞ。

「中国は一方的にビザ免除を実施する」

中国の李強首相が1月中旬に、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)への出席に合わせてスイスとアイルランドを訪問したときのこと。李氏は両国首脳とそれぞれ会談し、そう合意した。

ビジネスや観光、親戚や友人の訪問などで15日間以内ならビザなしで中国に入国を認める措置だ。中国政府は昨年暮れから今年3月にかけて、欧州では両国をはじめフランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルク、ハンガリーに同様の対応を始めた。

中国経済の低迷から、観光客の誘致を狙った政策であることは間違いない。中国政府がコロナ規制を解除して1年以上が過ぎても、外国人客は戻らない。2023年は約3500万人と、2019年の3分の1程度にとどまる。

このビザ免除は、日本にも2019年まで「一方的」に認めていたが、コロナ禍を機に停止したままだ。日本政府は再三、復活を求めている。経済界も1月下旬、4年ぶりに200人超の訪中団を派遣し、李氏との会見でも要望の1つとしたが、目下のところ動きはない。その理由として、中国政府はビザ免除の「双方向性」を強調する。

では、なぜ欧州には「一方的」に認めたのか。矛盾している。

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