欧州のすべてが気に食わないトランプ大統領…安保戦略の大転換を示す<衝撃文書>の中身とは?台頭する「極右ポピュリズム政党」を積極支持
自由民主主義などを柱とする戦後の国際秩序を支えてきたアメリカと欧州の関係は常に安定していたわけではなく、非難し合ったことが何度もある。しかし、いまほど米欧関係が対立し危機に直面したことはないだろう。
発端は12月初めに公表されたアメリカの国家安全保障戦略(National Security Strategy=NSS)だ。
NSSはアメリカが抱えている安全保障分野の課題と対応などを示す文書で、最近は大統領が交代するごとに作成されている。オバマ政権ではロシアや中国との対話を尊重し安定した関係を作ろうとしていた時期もあったが、第1次トランプ政権とバイデン政権は、中ロ両国をアメリカの国益や国際秩序に挑む修正主義勢力などと位置づけて批判的に取り上げていた。
ところが第2次トランプ政権の安保戦略を示す今回のNSSは、明確な中ロ批判が影を潜め、驚くことに同盟関係にあるはずの欧州が徹底的に批判されているのである。
欧州はやがて「文明が消滅」?
当該部分をいくつか以下に紹介する。
「欧州は文明そのものが消滅する深刻な見通し」「特定のヨーロッパ諸国が、信頼できる同盟国であり続けるのに足る経済力と軍事力を維持できるかどうかは、まったく不明だ」「数十年以内に、特定のNATO加盟国で非欧州系住民が過半数を占めるようになる可能性が十分ある」などと欧州の将来を見通している。
移民増加で白人支配の伝統的な欧州が変質してしまう危機にあり、その先には「文明の消滅」が待ち構えているとでも言いたいのであろう。
またウクライナ戦争に対する欧州の対応については、「トランプ政権は不安定な少数与党政権に支えられた欧州当局者らと対立している。彼らは戦争に対する非現実的な期待を抱き、その多くは反対派を弾圧するために民主主義の基本原則を踏みにじっている」などと、ロシアの主張を多く取り入れたアメリカの和平案に抵抗する欧州を批判している。
そして、欧州連合(EU)内での「現状の欧州の進路への抵抗を育成する」という一文まで盛り込まれていた。これは欧州で主流派となっている自由民主主義、市場経済、法の支配などを掲げる既存の政治勢力に対抗する極右ポピュリスト勢力を支持する考えを表明したものだ。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら