長く同盟関係を維持してきたアメリカと欧州は常に良好な関係というわけではなく、何度も対立と結束を繰り返してきた。しかし、第2期トランプ政権の発足を機に激しくなっている対立は、明らかにこれまでとは次元を異にしている。
今回、欧州主要国が米欧同盟への危機感を強めたのは、トランプ大統領がロシアに急接近したためだ。米ロが欧州抜きでウクライナ戦争の停戦や戦後処理を決めれば、ロシアと陸続きの欧州の安全が脅かされかねないため、欧州諸国は黙って見ているわけにはいかない。
しかし、現在の米欧対立はこうした安全保障分野に限定されているわけではない。
国連でアメリカがロシア・中国側についた
第2期トランプ政権も1期目同様、欧州に対する挑発で始まった。
トランプ大統領は1月20日の就任初日に地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱する大統領令に署名し、自動車などEU(欧州連合)からのすべての輸入品への高率の関税の検討も表明した。さらにEUが定めた「AI(人工知能)法」などAIに対する厳しい規制を批判し報復も示唆している。
対立の舞台もG7や国連に広がった。G7はロシアのウクライナ侵攻3年目の2月24日、オンラインで首脳会議を開いたが、ロシアを非難する文言を入れるかどうかで米欧が対立した結果、共同声明が出せなかった。
国連総会も同じタイミングでウクライナ戦争の早期解決を求める決議を採決したが、やはりロシア非難を避けるアメリカ案と、ロシアの侵攻を批判するフランス案が対立し、フランス案が93カ国の賛成多数で採択された。
メンツをつぶされたアメリカは、同じ日に急遽、安全保障理事会にロシア批判の文言を使わず「紛争の早期終結」を要請する決議案を提出した。こちらは常任理事国の英仏が棄権したためアメリカ、ロシア、中国など10カ国の賛成で採択された。
投票結果を見る限り、アメリカはロシアと中国側につき、英仏が孤立する逆転現象が起きたのである。
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