もちろん欧州はアメリカにまともにぶつかるつもりなど最初からない。それどころか必死でトランプ大統領のご機嫌をとっている。
英仏首脳は相次いでワシントンを訪問しトランプ大統領に露骨に媚を売った。英国のスターマー首相は報道陣の前で背広のポケットからトランプ大統領を国賓として招待するという内容のチャールズ国王の親書をこれ見よがしに取り出して読み上げた。英国王室が同一人物を国賓として2度、招くのは例外的なことだ。トランプ大統領が満面の笑みを浮かべたことは言うまでもない。
さらに欧州各国は首脳会議を繰り返して開き、トランプ大統領が求める軍事費の増額や財政規律の緩和、さらにはウクライナへの平和維持軍派遣、アメリカからの化石燃料の購入などの対応策を次々と打ち出し欧州離れを食い止めようとしている。
しかし、そればかりではない。さすがに今回は「アメリカからの自立が必要だ」などという声も高まっている。
アメリカ批判を強めるドイツ
特に目立つのがドイツの次期首相候補メルツ・キリスト教民主同盟党首(CDU)だ。2月の総選挙中にアメリカのバンス副大統領や起業家のイーロン・マスク氏が、極右政党AfDを支援するなど、露骨な内政干渉をしたためドイツの主要政党は強く反発した。
なかでもメルツ氏は「欧州は独立を達成し、アメリカ依存を減らす必要がある」などと、トランプ政権批判を強めている。フランスのマクロン大統領も「欧州の将来はワシントンやモスクワに決められる必要はない」として、フランスの「核の傘」を提起している。どこまで現実味があるかは別にして、「アメリカからの自立」がこれほど噴出したことは過去にない。
米欧関係はNATOを核とした「世界で最も成功した同盟関係」といわている。冷戦時代はソ連に対して一体感を維持して向き合った。冷戦後も2001年のアメリカの同時多発テロでは結束を強めた。
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