一部の国立大学で授業料値上げが始まった
2004年の国立大学法人化後、国から各大学に配分される運営費交付金はほぼ右肩下がりの状態が続いている。では、学生から集める学費はどうなのか。実は国立大学の授業料は05年から標準額53.58万円のまま変わっていない。この金額だけをみると私立大学との差は広がっている(下図参照)。
ただ、この標準額から20%まで増額することができ、東京藝術大学や一橋大学、東京工業大学(現・東京科学大学)など一部大学は先行して値上げした。25年度からは東京大学が実施。この後、他大学も追随するように、今26年度からは埼玉大学、電気通信大学、名古屋工業大学、山口大学が立て続けに値上げ。現在、国立大学85校中10校が標準額を超えている。
文部科学省の検討会では、国立大学への運営費交付金の算定にインフレを反映させる仕組みが議論されている。この議論の中で、「授業料収入も総額として物価に連動させるべきだ」との意見も出てきている。では、この授業料など学生納付金が国立大学の経営でどのくらいの比率を占めているのか。今回は経常収益に対する学生納付金の比率でランキングを作成する。
「運営費交付金比率」のランキングでも取り上げたが、国立大学で企業の売上高に当たるのが、「経常収益」だ。内訳は国からの交付金である「運営費交付金収益」、授業料・入学金・検定料といった「学生納付金収益」をはじめ、「受託研究等収益」「受託事業等収益」「寄附金収益」などがある。医学部があれば診療収入に当たる「附属病院収益」も加わる。
こうした経常収益のうち、附属病院収益を除いた主な収入は図のようになっている。
すべての国立大学法人の収入を合計した24年度実績は、運営費交付金収益が47.4%(1兆828億円)、受託研究収益や補助金等収益といった競争的資金等が32.9%(7521億円)で、学生が納める入学金や授業料などの学生納付金収益は15.9%(3624億円)にとどまる。つまり、授業料や入学金といった学生納付金は収入の2割にも満たないのが現状だ。では個別の大学ごとにみるとどうなのだろうか?
1位埼玉大学、2位和歌山大学
なお今回も病院収入の差を除外するために「附属病院収益」を除いた経常収益に対する学生納付金の比率を出し、高い順にランキングした。上位は大学経営で学生納付金の影響が大きい大学ということになる。
ランキング1位は埼玉大学で38.7%。133億円の経常収益のうち51億円を学生納付金に依存している。ただ運営費交付金はそれを上回る60億円で国からの支援も多い。学生納付金の内訳は授業料43億円、入学金6.6億円、検定料1.7億円となっている。
同大は今年度からの学部入学生を対象に順次授業料を20%値上げしていく。発表資料に、「教育の質的転換と充実、キャンパス環境の整備、学生サポートの充実などに活用」と書かれている。全学年の値上げが終了すると単純計算では現在の授業料43億円が50億円を超えることになるが、このように単純にはいかない。例えば、国の修学支援新制度で授業料は無償になるが、標準額を超える金額(約10万円)は大学負担となる。さらに大学院生向けの授業料減免制度拡充などの費用増も起きるため、学生数×値上げ分とはいかないことには注意が必要だ。
2位は和歌山大学で36.7%。経常収益74.2億円に対して学生納付金27.2億円、運営費交付金は41.1億円となっている。
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