5530万円――。
世界初のiPS細胞由来パーキンソン病治療用製品に付いたこの価格(薬価)は、再生医療が新たな段階に入ったことを象徴している。2026年5月に保険収載(保険適用)された。
住友ファーマの再生医療等製品「アムシェプリ」(一般名ラグネプロセル)は、健康な成人由来のiPS細胞から作製したドパミン神経前駆細胞を、外科手術によって患者の脳内の被殻に移植する治療薬だ。
対象は、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者。効能・効果は運動症状の改善である。病気そのものを治す治療薬ではなく、失われたドパミン神経の働きを補い、薬物療法では十分に抑えきれない運動症状の改善を目指す。
重症心不全向けの新製品は5320万円
iPS由来の再生医療等製品としては、クオリプスが開発した再生医療等製品「リハート」(一般名ヒト〈同種〉iPS細胞由来心筋細胞シート)も9月1日、保険収載された。大阪大学発の研究成果を基にした製品で、製造販売業者はクオリプスである。対象は、薬物治療や侵襲的治療を含む標準治療で効果不十分な虚血性心筋症による重症心不全で、保険償還価格は1製品5320万円。
リハートは、iPS細胞から作製した心筋細胞シートを、開胸手術で心臓表面に直接貼り付ける。使用方法などから医療保険上の価格算定では、医療機器と同様に扱われる。このためアムシェプリの価格が薬価と表記されるのに対し、リハートの価格は保険償還価格として示される。移植した心筋細胞が周囲の心筋に働きかける物質を分泌し、弱った心筋の状態を改善することで、心機能や運動耐容能の改善・維持が期待される。
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