アメリカはもはや「世界の警察官」ではないばかりか、グローバル秩序を重視せず、勢力圏外で起きることは黙認する姿勢だ。

「現政権はアメリカの歴代政権の外交政策の価値観から、決定的に離反しようとしている」。トランプ大統領は2月24日、フランスのマクロン大統領との共同記者会見でこのように語った。また同日、国連総会の特別会合でロシアのウクライナ侵攻を非難する決議案に、アメリカはロシア側について反対票を投じた。
今、振り返ると、それらは数日後のホワイトハウスにおけるトランプ氏とゼレンスキー・ウクライナ大統領の会談決裂の伏線であった。
「グローバル秩序で損してきた」との不満
トランプ2.0の「アメリカ第一外交政策」の輪郭が見えてきたが、それは1期目以上に国内問題の解決策のための外交だ。つまり、トランプ2.0の「アメリカ第一外交政策」は第1次トランプ政権(トランプ1.0)の強化版だと一部専門家は評価する。
アメリカが外交問題よりも国内問題を優先する傾向は、トランプ政権で始まったことではない。2013年、オバマ大統領(当時)は「世界の警察官ではない」と発言。同政権時代から国内問題を重視する姿勢は見られた。
だが、第2次トランプ政権(トランプ2.0)が異なるのが、各地域での専制国家の強い指導者に歩み寄っていることだ。また、現政権は従来、アメリカ主導で構築されてきた同盟国や友好国の関係や国際的な枠組みなどを壊し始めている。トランプ1.0とは異なり、それらの政策を実行できる人材が揃っていて、共和党内で強い抵抗勢力は見られない。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
(残り 2199文字 です)
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら