アメリカ大統領に返り咲いたトランプ氏は、就任当日から前政権の政策を次々と覆した。「アメリカ第一主義」の行く末は。
1月20日、第2次トランプ政権(トランプ2.0)が発足した。前夜に雪が降り、氷点下の首都ワシントンには、トランプ氏のスローガン「MAGA(アメリカを再び偉大に)」が記された赤い帽子をかぶった支持者が全米から集結し、トランプ氏の復権を印象付けた。
就任式は、4年前、トランプ支持者による乱入が起きた連邦議会の事件現場で行われた。トランプ氏は乱入事件をあおり、クーデター未遂であったとの見方もあった。党内からも批判され、同氏の政治人生は終わったとの声が支配的であった。
1期目の最終日、トランプ氏がワシントンのアンドリューズ統合基地で1期目最後の大統領専用機に搭乗した際、「何らかの形で、われわれは戻ってくる」と支持者に語った。
当時、誰もがその言葉を真剣に捉えていなかったことであろう。だが、同氏は4年間の浪人生活の末、パワーアップしてワシントンに戻ってきた。
支持者集会のような就任演説、前政権を批判
就任演説はまるで選挙キャンペーンの支持者集会のようで、通常の就任演説で見られるような前政権の実績を賞賛する言葉はなかった。同氏は「この瞬間からアメリカの衰退は終わる」と述べ、そばに座るバイデン前大統領を批判した。「アメリカ第一主義」の政策に大きく舵を切る方針を改めて示した。
トランプ1.0と異なり、2.0のワシントンではトランプ氏に対する抵抗勢力は弱まっている。
1.0が始動した8年前、トランプ氏の勝利を認められない国民が多数いる中、最初の数カ月は毎週末のように反トランプを掲げるデモ活動が街中で繰り広げられた。1.0就任式翌日には、ワシントンだけでも50万人近くの国民が「女性たちの行進」と呼ばれる反トランプ運動に参加した。抗議者により車が炎上するなど街中は荒れていた。
だが、今回は就任式2日前に行われた反トランプ運動は数千人規模にとどまり、勢いに欠けた。
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