トランプ関税の脅威、対中で「第三国経由」封じも 「保護主義の関税」と「威嚇のための関税」がある

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 5
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

1月20日の就任直後に多数の大統領令に署名し、政策を実行に移すと想定される。なかでも通商政策の中身が焦点だ。

日本企業はどうトランプ関税に備えればいいのか(カーター元大統領の棺の前で 写真:Kayla Bartkowski/GettyImages)

特集「トランプのアメリカ トランプの世界」の他の記事を読む

自称「タリフ(関税)マン」のトランプ前アメリカ大統領が1月20日、ホワイトハウスに復帰する。第2次トランプ政権(2.0)では、第1次トランプ政権(1.0)と同様、通商政策に焦点を当てた政権運営を展開することを示唆している。

トランプ氏は支持政党を共和党、民主党、そして第三政党の間で5回も変えてきたが、ビジネスマンの頃から唯一、一貫性があるのが通商における保護主義的な考えだ。

選挙戦でトランプ氏は、普遍的基本関税10~20%、対中関税60%、選挙後にはメキシコとカナダに対する関税25%、中国に対する追加関税10%、BRICS(主要新興国)に対する高関税を打ち出した。1月に入るとグリーンランドをめぐってデンマークに対する関税に言及するなど、さまざまな場面で関税を武器に威嚇している。

2種類のトランプ関税を見極める必要

トランプ氏の関税政策は2種類に大きく分類できる。

まずは製造業を中心に国内産業を保護すること、あるいは他国の関税撤廃を狙う本来の通商目的の関税。もう1つは、通商とは異なる分野でトランプ氏の目的を達成する交渉材料としての関税だ。

通商目的の関税の一部は比較的早期に発動される可能性がある。1.0で調査後に発動済みの対中関税(1974年通商法301条)や鉄鋼・アルミ関税(1962年通商拡大法232条)がこれに該当する。

一方、交渉材料の関税については、各国のトランプ政権との交渉次第では発動されない、あるいは交渉妥結次第、撤廃される可能性も大いにある。

交渉材料の関税には、2024年11月、カナダとメキシコに対し威嚇した25%関税が含まれるであろう。仮にカナダとメキシコが移民問題や麻薬問題の解消などでトランプ氏が納得する対応に合意すれば、トランプ氏は勝利宣言し、関税を発動しない可能性も大いにありうる。

次ページ議会の承認はいらないのか?
関連記事
トピックボードAD