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アメリカのトランプ大統領について、マスメディアでは、他国に威圧的な行動をとる好戦的な人物で、世界秩序を乱すという論評がほとんどである。だが、ノーベル平和賞を狙っていると言われるトランプ氏は、進め方こそ従来とは異なるものの、核の削減や和平に向け着実に行動しているとの評価もある。
トランプ氏は1月23日、世界の政財界のトップが集まる「ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会、スイスで開催)」にオンラインで参加し、核軍縮に向けてロシアや中国と協議する意欲を示し、「非核化が可能かどうか確かめたい。十分可能性はある」と述べた。
あまり知られていないが、トランプ氏は第1次政権(2017~21年)時に中露を含めた3カ国による核軍縮の枠組みを模索した経緯がある。今回のダボス会議では当時の協議にも触れ「プーチン大統領は核兵器削減の考えを本当に好んでいた」と強調した。
その上で「米露が(核兵器削減に)取り組めば、世界の他の国を巻き込み、中国も加わっただろう。中国もその考えを好んでいた。核兵器には多大な資金が投入されていて、その破壊力は聞くに耐えないほど恐ろしいものだ」と指摘した。
写真集の「PEACE(平和)」
2月7日、ホワイトハウスで初の日米首脳会談に臨んだ石破首相は、2024年12月に、安倍昭恵氏を介して贈られたトランプ氏の写真集について言及し、「PEACE(平和)と書かれてあり、非常に感銘を受けた」と語った。
トランプ氏は大統領就任演説でも、「最も誇るレガシー(政治的遺産)は、平和の構築者と人々を団結させる者になること」だと語っている。進め方には賛否があるものの、ウクライナ戦争やパレスチナ自治区ガザにおける戦闘をただちに終わらせると自ら交渉に当たっている。北朝鮮の金正恩総書記についても「私は彼と仲が良かった。彼は賢い男だ」と述べ、接触を図る意向を示している。
意外かもしれないが、トランプ氏は「20世紀以降、新たな戦争を始めなかった5人のアメリカ大統領のひとり」とも言われており、現在進行形の戦争の終結はもちろん、核兵器廃絶に向けた取り組みには期待できるものがある。
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