
金属の切削に欠かせない工作機械。その受注動向は設備投資の指標にもなっている (写真: jointstar/PIXTA)
工作機械は主に金属を切削、研削し、部品や金型を加工する機械のこと。さまざまな機械がこの工作機械で加工された部品や金型を使っていることから、「機械を作る機械」「マザーマシン」といわれる。
工作機械の販売先の多くはメーカーだ。注文(受注)が増えるということは更新需要もあるが、「生産を増やす予定がある」「設備投資の意欲がある」メーカーが増えているということになる。
景気が上向けば、製造業の設備投資の意欲は高まる。つまり工作機械の受注状況は、景気の先行きを知る手がかりとなる。工作機械の業界団体である日本工作機械工業会(日工会)では、毎月、会員企業から受注状況を集計し、月次で速報と確報を発表している。実際、この受注状況は「景気の先行指標」ともいわれ、市場関係者の注目度も高い。
今回は8月21日発表の2025年7月分の受注統計(確報)の結果をお伝えする。
外需が牽引も内需は4カ月連続で前年比割れ
7月の受注総額は1283.6億円。前月比はマイナス3.6%だが、前年同月比はプラス3.6%という結果に。2カ月ぶりに前年同期比でプラスとなり、受注水準も5カ月連続で1200億円を超えた。
7月時点ではアメリカの関税影響がまだ見えない状況だったが、まずまず高めの受注水準で、推移を見ても底打ちから回復局面に入っている様相だ。

うち、内需の受注額は354.5億円で前月比マイナス11.1%、前年同月比マイナス0.7%だった。補助金効果が剥落したことで2カ月ぶりに前月比割れとなった。さらに前年同月比では4カ月連続で減少し、一般機械や電気・精密が下降トレンドになっているのが気がかりだ。ただ、自動車は80.3億円と前月比プラス15.9%、前年同月比プラス26.0%と大きく伸びた。
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