
2025年6月、ルッテ事務総長(右)、スターマー英首相(左)らとNATO首脳会合に出席するトランプ米大統領(写真:HAIYUN JIANG/The New York Times)
トランプ関税、ウクライナ戦争への対応、イランへの空爆。アメリカのトランプ大統領が世界を混乱させている。その言動は第1次政権以上に予測不能だ。本特集ではアメリカと、翻弄される世界の現在地を読み解く。
「ドナルド、あなたは米国と欧州、そして世界を本当に、本当に大事な瞬間に導いた。米大統領が何十年もできなかったことを達成しようとしている。欧州は費用をたくさん払う。そうあるべきだし、それはあなたの勝利だ」
6月、オランダ・ハーグでのNATO(北大西洋条約機構)首脳会合に向かう大統領専用機の中のトランプ大統領に、ルッテNATO事務総長が送ったメッセージだ。露骨なまでの媚びへつらいだろう。
第1次トランプ政権の際には、ドイツのメルケル首相に代表されるようにトランプに「抵抗」する姿勢を示す指導者も多かった。しかし今回はイタリアのメローニ首相やルッテ氏のように、トランプにすり寄る姿勢が顕著だ。
当面の「トランプ対策」は成功
首脳会合の運営も異例だった。
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