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「失望」から生まれたトランプ大統領。建国から250年、大変化するアメリカの保守思想に迫る

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演説するトランプ大統領と大勢の支持者
トランプ支持層に広がる大衆運動は、保守知識人の思想に影響を受けている(写真:EPA=時事)

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トランプ関税、ウクライナ戦争への対応、イランへの空爆。アメリカのトランプ大統領が世界を混乱させている。その言動は第1次政権以上に予測不能だ。本特集ではアメリカと、翻弄される世界の現在地を読み解く。

トランプ2.0を生んだ支持層は一枚岩ではない。複雑な米保守思想を読み解いてみよう。

米国の「思想地図」がガラリと変わったのは2016年。大統領選挙で起きた「トランプ現象」がきっかけだ。とくに共和党(保守)側の思想的変化は大きく、冷戦期から続いた思想の流れを一変させた。

保守思想を理解するうえで留意したいのは、知識人運動(思想運動)と大衆運動に分かれる点だ。政治は、その狭間で揺れ動く。

戦後米国の知識人運動は1940年代、共産主義との対決を基調とするリバタリアニズム(自由至上主義)の興隆から始まった。社会主義と見まがうような左派のニューディール・リベラリズム政治に対する自由主義の反発もあった。

そこに近代批判をうかがわせる思想潮流、「伝統主義」が合流。60年代には「新左翼」に反発するニューディール・リベラル知識人の一部(新保守主義者=ネオコン)が加わり、保守側は知的活力を一層増した。

こうした保守知識人運動が生み出したのが、冷戦を終結に導いたレーガン政権だ。政権を支えた思想運動は「レーガニズム」とも呼ばれ、冷戦後は民主党も引きずり込まれていく。ネオコン優位の対外積極路線、ネオリベラルな経済政策は米国政治の基調となり、「米国一極支配」とも呼ばれる世界をつくり出した。

失望がトランプを生んだ

だが、その成功は破綻の芽を内包していた。

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