習主席の公約実現へ財政拡大するが不動産問題の抜本策は先送り。
3月11日に閉幕した全国人民代表大会(全人代)で中国政府は、今年の経済成長目標を昨年と同様5%程度に据え置いた。もっとも、5%程度の持つ意味合いは昨年とはかなり異なる。昨年はゼロコロナから経済再開に舵を切ったことで、3%成長に失速した2022年の低い水準からの力強い自律回復が期待されていた。
しかし、昨年の成長率は不動産不況や消費回復の鈍さから5.2%で着地、過去2年の平均成長率は4.1%にとどまった。つまり、4%程度が現在の成長の実勢だ。
今年5%成長を実現するということは、成長率を4%から5%まで引き上げる必要があることを意味する。政府活動報告も、「目標達成は容易なことではない」と率直に認めている。それでも成長目標を5%程度に設定した理由として、政府活動報告は、「雇用と収入増の促進、リスクの防止・解消などの必要性」、「現代化の基本的実現という目標との整合性」などを挙げている。
今年は、大学の卒業者数は1179万人と過去最高を更新する見込みで、成長によって新規雇用を確保する必要がある。政府は、都市部の新規雇用者の目標を昨年の「1200万人程度」から、今年は「1200万人以上」とした。不動産、地方債務等のリスクを顕在化させないためにも成長が必要だということだろう。
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