異例な時期の特別国債20兆円は中国経済を救うか 2024年も5%成長を目指す思惑がのぞいている

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上海の地下鉄駅に掲げられた「独身の日」セールの広告。中国では住宅価値下落が消費の重荷になっている(写真:Getty Images)

10月24日、全国人民代表大会(全人代)常務委員会は1兆元(約20兆円)の特別国債発行を承認した。特別国債は年内に発行され、5000億元は年内に、残りの5000億元は翌年使用される。特別国債は使途を特定した国債で、通常の予算手続きを経ずに発行可能だ。過去3度発行されており、今回は災害後の復旧・復興と防災のためとしている。

全人代常務委員会は、財政赤字の対GDP比率を3%から3.8%前後に上昇させることも認めた。同時点で国債発行の残枠は予算対比で8300億元しかなかったが、今回財政赤字幅を拡大したことでさらに1兆元の国債発行を可能とした。

過去に期中で財政赤字幅を拡大したのは、1998年、1999年、2000年しかなく、いずれも8月に決めていた。今回は残り2カ月となったこの時期に赤字拡大を決めた。今年自然災害が多かったことは事実だが、災害は例年起こっており、この時期に急いで特別国債発行を決めるのは異例だ。

異例の特別国債発行を決めたのは、政府が、経済持ち直しの力強さや持続性を懸念しており、2024年以降の経済成長に焦りを持っているからだろう。

景気の弱さが懸念されている中国経済だが、今年第3四半期の経済成長率は4.9%と市場予想を上回り、消費や生産にも持ち直しの動きが見られる。すでに年初来9月までの経済成長率が5.2%となったため、2023年の成長率が政府目標の「5%程度」を達成するのはほぼ確実だ。

住宅価値下落が消費直撃

しかし、年後半になって経済が幾分安定化したのは、製造業の在庫調整に一巡感が出てきたことによるところが大きく、最終需要に力強さを欠いている状況には変わりはない。とりわけ、間接的な影響を含めればGDPの4分の1を占める不動産セクターの不況長期化が経済を下押ししている。

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