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好発進した中国経済の勢いはこのまま続くのか カギとなるのは不動産不況への抜本的な対応

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政府は景気下支えに動くほか、ようやく「三中全会」の開催も決定した。

減速が続いていた中国のインフラ投資はやや上向いた。写真は3月、江西省九江の鉄道工事現場(写真:Getty Images)

中国の1~3月期のGDP(国内総生産)成長率(前年比)は市場予想を上回る5.3%となった。4~6月期の成長率も、前年比では相応に高めとなると見込まれる。

2023年の4~6月期は景気が悪化した時期で、ベースが低いからだ。2024年の成長率を「5%程度」とした政府目標を達成するうえではよいスタートを切ったようにみえる。輸出の改善やそれを受けた製造業投資の持ち直しに加え、減速が続いていたインフラ投資が昨年末の特別国債発行もあって幾分上向いたことなどが寄与したとみられる。

もっとも、経済の実態は、とても楽観できる状況ではない。中国経済の弱さの最大の要因である不動産市場の低迷は一段と厳しさを増している。1〜4月の商品不動産販売面積は、前年比20.2%減と2023年通年(8.5%減)よりも減少幅が拡大している。消費も、1〜4月の小売売上高が同4.1%増と2023年通年(7.2%増)よりも低く、弱めである。

中国の複数のエコノミストは、2024年はうるう年で日数が1日多かったことが、成長率にプラスに効いたと指摘している。確かに、多くの経済データが、1〜2月は強めで、3月に弱含んでおり、1〜2月のデータが、うるう年効果で幾分カサ上げされていた可能性がある。景気の実勢は、割り引いてみておく必要があるだろう。

財政投入を急ぐ方針

市場では、成長率が予想以上によかったことで中国政府による景気サポートが弱まるのではないか、と懸念されていた。そうした中、四半期に一度、経済情勢を判断し、経済政策の方向性を決める共産党中央政治局会議が4月30日に開催された。結果からいえば、政府は景気に対して慎重な見方を維持し、財政投入を急ぐ方針を示した。

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