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アメリカ向けの投資が活況、「IRA」の威力とは 巨額の財政支援が世界各国の投資を呼び込む

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大統領選挙による政策修正リスクには、どう備えるべきか。

バイデン大統領と太陽光発電のパネルを設置する作業員
米バイデン政権はEVへの転換と国内雇用の喚起を目指す(写真:Kenny Holston/The New York Times、Mason Trinca/The New York Times)

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地政学の構造変化によってますます先鋭化しているのが、国家主導の産業政策だ。とりわけ米国では、インフレ抑制法(Inflation Reduction Act=IRA)により、国内外から強力に投資を引きつける動きが生まれている。日本企業にとっても、IRAの動向は見逃せないものになっている。

2022年8月に成立したIRAは、気候変動対策を名目に再生可能エネルギーや電気自動車(EV)、グリーン水素などへ3690億ドルの財政支援を行う措置だ。

税額控除や補助金を通じて米国内への投資を促すのが狙いで、実際にIRAの施行後、独フォルクスワーゲンや独BMWなど、欧州の大手企業を含む約20の企業がクリーンエネルギー生産施設の新設・拡張を発表した。米ホワイトハウスは1年で約17万人の雇用創出が行われたと報告している。

ランニングコストまで支援

IRAが通常の財政支援と異なるのは、その対象が初期投資にとどまらないという点だ。

気候変動関連の投資を行う企業に対し、初期投資時に最大30%の税額控除を行うほか、一定の要件を満たせば生産量に応じて一定額を控除する「生産比例税額控除」という仕組みがある。10年間、生産量に応じてランニングコストまで支援する手厚い制度になっている。

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