エコノミストアンケートの詳細版。5回目は「2023年の想定外」を振り返る。
今年のエコノミストアンケートでは2023年度の実質GDP成長率について1.3~1.7%の間で回答が集まった。昨年末のアンケートでは2023年度の同成長率について0.5%~1.5%で回答が寄せられており、全体的に上振れた。大半のエコノミストにとって、2023年は思ったより良かった経済状態が続いたことになる。
最大の驚きはアメリカ経済の堅調さ
想定よりも経済状態が良かった要因として、多くのエコノミストが指摘したのがアメリカ経済だった。楽天証券経済研究所の愛宕伸康チーフエコノミストは「最大の驚きは、5%以上利上げしたにもかかわらず堅調を持続しているアメリカ景気」と率直に回答。「後付けでいろいろな理由を述べるのは可能だが、事前に予想できたとは到底言えない」(愛宕氏)。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長も「アメリカは累積的な金融引き締めの影響で景気後退局面入りすると予想していたが、成長率が大きく上振れし、現在では景気後退は回避されるとシナリオを変更している」と明かす。
アメリカ経済の強さについて三井住友DSアセットマネジメントの吉川雅幸チーフマクロストラテジストは「金融政策の効果が出るまでのタイムラグが今回は長くなっている」「拡張的な財政政策、アメリカがエネルギーの純輸出国で原油・天然ガスの価格上昇が日本や欧州のようにマイナス要因になりにくかった」と構造的な背景も振り返った。
また大和証券の末廣徹チーフエコノミストは「アメリカ経済の強さにつきる」として、それが日本銀行の金融政策にも影響していると指摘。「アメリカ経済が強かったことから、インフレ懸念が継続し、利上げも長期化した。その結果、円安が継続し、日本のインフレ率が上振れ、日銀の金融政策も動いた。アメリカの個人消費の強さは意外で、それがすべての予想外につながっていった印象」(末廣氏)。
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