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米中経済の動向だけが「日本経済のリスク」なのか エコノミスト予想【詳細版③】経済リスク

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2024年の「日本経済のリスク」について、エコノミスト18人が回答。

米中経済の動向が、日本経済の2024年最大のリスク要因といえるが…… (写真:barks/PIXTA)

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東洋経済は2023年11月末~12月上旬にかけて18人の有力民間エコノミストに対するアンケートを実施。2024年の日本経済や金融政策の見通し、経済リスク、岸田政権の政策について考えを聞いている。その結果は、週刊東洋経済12月23-30新春合併特大号「2024大予測」でまとめているが、掲載できなかったエコノミストの詳細な回答を5回にわたり紹介していく。
3回目は2024年の日本経済リスクについて。各エコノミストは日本経済が冷え込む可能性としてどのような要素に着目しているのか回答を紹介する(末尾に18人の回答を掲載)。

エコノミスト18人は2024年度の実質GDP(国内総生産)成長率予測を0.2%~1.3%の間で予測を出している。2023年度の同1.3%から1.7%よりも厳しい見通しだ。すでに2023年もヨーロッパや中国で経済が停滞の兆候を見せ始めており、さらにアメリカ経済が後退局面に入ることで日本の輸出産業への影響が懸念される。

米中2大国がともにリスク

「日本経済のリスク」として、15人が「海外経済の動向」を挙げている。特に「アメリカや中国景気の想定以上の減速・停滞」(三井住友DSアセットマネジメント・吉川雅幸チーフマクロストラテジスト)と2大経済大国がリスクとの指摘が多い。

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SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは「中国経済とアメリカ経済ともにソフトランディングを見込むが、不動産問題が中国経済をクラッシュさせたり、アメリカが深刻なリセッションに陥ったりすれば日本経済を圧迫する」と指摘。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長は「アメリカ経済がリセッションに陥れば、輸出の下振れを通じて日本も景気後退の可能性が高まる」と解説する。

また大和総研の熊谷亮丸・副理事長も具体的に「米銀行の貸出態度の厳格化によるアメリカ景気の大幅な悪化」「中国の過剰債務問題の顕在化」が懸念材料とする。そのほか熊谷氏は「米中対立の激化(経済安全保障リスクの発現)」も挙げた。三菱総合研究所の武田洋子・執行役員兼研究理事も「下振れリスクが大きい」として中国不動産市況の急激な悪化やアメリカ経済の減速のほか「地政学リスク」に言及した。

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