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トランプ関税後に「ドル離れ」「アメリカ離れ」は起きているのか?4〜6月のデータを丹念に見ると浮かぶ「欧州へのローテーション」のかすかな兆し

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トランプ大統領がFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)への圧力を強めていることもドルの基軸性が注目される材料に(写真:Chip Somodevilla/Getty Images)

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アメリカの覇権性やドルの基軸通貨性が注目を集めるようになっていることを踏まえ、筆者は米財務省から公表される対内・対外証券投資(TICデータ)を定点チェックすることの重要性を議論してきた。

8月には6月分が公表されており、4~6月期の対米証券投資動向についてイメージがつかめるようになっているので、現状整理をしておきたいと思う。

先に最新6月分の合計だけ見ておくと、アメリカへの長期有価証券投資は合計で1923億ドル増と2カ月連続で純流入が確認されている。ちなみにこれは過去5番目に大きな純流入である。前回(5月)分が3262億ドルと過去最大の純流入であったため、その揺り戻しも想定されたが、そのようなことは起きていない。

4~6月期合計に関し、商品別に売買動向を見たものが下図だ。合計では4683億ドルの純流入であり、不安視された米国債に対しては1017億ドルと純流入が確保され、株式に至っては2606億ドルと四半期ベースでは過去最大の純流入が見られている。

こうした四半期の合計額だけで見れば、「アメリカ離れ」は4月限定で起きていたイベントにも思われる。

「米国債の信頼回復」とみるのは早計

しかし、4~6月期を月別に見た場合、米国債に関して言えば、5月分が1474億ドルと過去2番目に大きな資本流入を確保した結果として4~6月期合計の数字が規定されているだけであり、4月は408億ドル減、6月も50億ドル減と純流出であったことは留意したい。

5月の巨大な純流入は4月の「解放の日」直後の不安定な状況で確認された動きであり、米国債(ひいてはアメリカ)への信頼回復を示したものとは言い切れないだろう。

現実問題として米金利は高止まりしており、ドル安も続いているため、3カ月中2カ月で純流出を記録している事実も相応に重く見た方が良いと考えられる。

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