
9月12日の日本時間午前、日米財務大臣共同声明が突然発表された。日米通商協議は関税部分については赤澤亮正経済財政・再生担当大臣、為替部分については加藤勝信財務大臣がそれぞれ担うという立て付けになっていた。
声明文には「為替レートは市場において決定されるべきことで、過度の変動や無秩序な動きは経済や金融安定に悪影響を与えうることを再確認した」と為替レートに関する常套句が盛り込まれており、これ自体はG7やG20の財務相会合で確認されるような内容と大差はない。
実際、加藤財務大臣は「これまでのG7などでの議論をベースとしたもの」「われわれの今までのやり方に影響するものではない」との認識を示している。ゆえに、声明後に大きな相場変動も見られていない。
しかし、この声明文には以下2つの気がかりな論点が記載されていた。
公的年金投資はすでに目をつけられていた
双方の論点はすぐに市場の取引材料となる性質のものではないが、長い目で見れば、外国為替市場において非常に重要な話でもあるため、ここで深掘りしておきたい。
まず、①の年金基金などの投資に関しては、今年6月5日に公表された米財務省の為替政策報告書ですでに問題提起されていた。当時の本欄「トランプ政権の為替政策報告書、『円安修正』で注目すべきは日銀利上げより『公的年金運用』…いまや半分が外貨資産の300兆円ポートフォリオ」で先んじて注目していた経緯がある。
具体的に6月の報告書では「政府系投資機関(例:公的年金基金)は為替相場を目的として投資するのではなく、リスク調整後のリターンや分散投資を目的とすべき」と今回の声明文と類似の趣旨が明記されていた。
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