2021年に保育事業のプロジェクトが発足し、田中沙良さん(29歳)など4名が合流。在宅勤務や時短勤務を活用しつつ、家族や職場のサポートを得ながら、具体的な事業計画などの立案を進めた。
当初の事業計画では、定員20名程度の小規模な保育施設を建設する想定で、施設運営も外部業者に委託するつもりだった。図面なども完成していて、後は自治体に申請して着工するのみという段階にまで進んでいた。
ゼロイチで保育事業の立ち上げへ
ところが、2022年末ごろに秦野市が「市立ほりかわ幼稚園」を公私連携幼保連携型認定こども園化するにあたって運営法人の募集を開始。「より地域社会に貢献できると考え、経営陣と協議したうえで応募を決意した」(水野さん)

ただ、こども園を運営するには社会福祉法人を設立して自ら施設運営しなければならない。保育という未知の領域で、人事制度などを一から作り上げる必要があった。水野さんと田中さんは、外部セミナーや経営学の講座を受講したり、保育士の資格を取得するなど、保育事業への理解を深めてきた。しかしながら、人事や経理などの仕組み作りは、社内のベテランからのサポートがなければ困難だった。
もともと田中さんは、食品安全衛生管理本部で製造過程の手順を洗い出して危険要因を特定する仕事などに携わっていた。田中さんは「製造担当者に質問や確認をする機会が多かったので、社内調整への抵抗感は少なかった」と振り返る。国際衛生基準「HACCP(ハサップ)」などに関する書類作成の経験も、自治体への提出書類を作るうえで生きたという。
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