北海道・苫小牧、大阪・堺でAIデータセンター構築の動きを具体化させるソフトバンク。しかしこれは、彼らの壮大な構想の序章にすぎない。
“桁違い”の巨大プロジェクトが、いよいよ動き出した。
ソフトバンクは10月、北海道苫小牧市で大規模なAIデータセンターの建設に着工した。まずは約650億円を投じ、2026年度に受電容量50メガワット規模の拠点の開業を目指す。センターは開業後も順次拡張を続け、最終的に300メガワット超の規模まで拡大する。
受電容量はデータセンターの規模を示す指標で、2020年頃から建設が目立つ「ハイパースケーラー」(巨大クラウド事業者)が利用する大型センターでも25~50メガワット程度。一般家庭の消費電力に換算すると、300メガワットは6万~10万世帯分に相当し、一般市の電力をまかなうほどの規模感といえる。
目的は桁違いの”AI事業”実現
これほど大量の電力を要する理由が、AI事業に不可欠な演算装置「GPU(画像処理半導体)」の存在だ。深層・機械学習などで膨大な計算を行うため、大量の電力が必要になる。
電力確保のため、ソフトバンクは北海道電力と協議し、道内の風力や水力、太陽光といった豊富な再生可能エネルギーを100%活用するセンターの構築を目指すとしている。
「データセンターの役割、規模は、時代の変革に合わせて変わってくる。急激な大型化の背景には、AIの進化がある」。宮川潤一社長は6月に開かれた資源エネルギー庁の有識者会議に出席し、そのように説明した。建設に当たっては、データセンターの地方分散を推進する国の方針とも合致し、経済産業省から最大300億円の支援を受ける。
そもそも、なぜソフトバンクはここまで巨大なデータセンターを必要とするのか。それは、国内企業として“桁違い”のAI事業展開を目指すためだ。
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