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データセンターブームで深刻化する送電網接続問題、東京ガスが分散型電源の「ガスコージェネ」を活用した新たな解決策

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東京・田町の複合ビジネス拠点「msb Tamachi」(ムスブ田町)の地下に設置されたガスエンジン発電機。ガスコージェネレーションシステムの中核を成している(記者撮影)

東京ガスは、データセンター向けに新たなエネルギーサービスを本格展開する。東京ガスグループの「東京ガスエンジニアリングソリューションズ」(TGES)が、分散型電源であるガスコージェネレーションシステム(以下、ガスコージェネ)をデータセンター施設内に導入し、電力および空調などに必要な熱エネルギーの一部を賄う。TGESによれば、「すでに10件近い商談が進んでおり、2025年度中に初めての成約を目指す」という。7月2日の記者向け説明会で明らかにした。

生成AIの本格普及などを見越し、ここ1~2年、首都圏を中心としてデータセンターの建設計画が急増している。その数は数十にものぼり、東京電力エリアだけでもすでに電力供給の申し込みは1000万キロワット近くに達している。そのすべてが実現するわけではないものの、2023年夏のピーク時の電力需要の約2割にも相当する。

それと同時に、変電所の増設などが必要で送電網への接続に時間がかかり、計画通りに進まないといった問題が顕在化している。あるデータセンター事業者の幹部によれば、「空きが乏しいため、送電網への接続には10年以上かかると通知されるケースもしばしばある。われわれが考えているタイムスケジュールとかけ離れている」という。

送電網への負荷を軽減する新たな仕組み

今般、TGESが打ち出したガスコージェネシステムを軸とした新サービスは、データセンター事業者の側に分散型電源を設置して電力の一部を生み出す。従来の方法と比べて外部から購入する電力が少なくて済み、送電網への負荷が軽減される。送電網への接続もしやすくなる。

TGESの村田行麿取締役専務執行役員によれば、「分散型電源であるガスコージェネシステムの導入によって電力の供給制約が緩和され、データセンターの早期の稼働が実現する。さらに立地の自由度の向上も期待できる」という。TGESではこの仕組みを「電源ハイブリッド型データセンターソリューション」と呼び、新たなビジネスに育てようとしている。

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