苦境のコニカミノルタが描く「事務機」生存戦略――大型買収の"敗戦処理"とリストラで連続赤字脱するも、モノ言う株主が浮上

「まず財務基盤を整えないと、次の成長戦略など始められなかった」
中堅複合機メーカー・コニカミノルタの大幸利充社長(インタビュー記事はこちら)は8月、東洋経済の取材で苦い言葉を繰り返した。
コロナ禍前の2019年に5000億円程度だった時価総額は、足元は2600億円に沈む。オフィス向けA3複合機の市場では世界シェア4位を占める中堅メーカーは、苦境に立たされている。
写真フィルムやカメラを手掛けるコニカと、複写機などを主力とするミノルタが2003年に経営統合して発足したコニカミノルタ。両社の看板事業だったカメラは2006年にソニーへ引き継ぎ、以降は複合機を柱とするデジタルワークプレイス事業が屋台骨となった。
現在、連結売上高1兆円超のうち約半分を占めるデジタルワークプレイス事業は、設置後も保守契約やトナー販売、印刷枚数に応じた利用料が継続的に入る「優良ビジネスモデル」を堅持している。
同業大手は多角化へ舵
だが時代は変わった。ペーパーレス化の進行に加え、コロナ禍を経て在宅勤務が定着――。オフィスの印刷需要は緩やかに減少の一途をたどる。今後も年率3~5%程度の縮小が見込まれる中、複合機頼みでは成長が望めない。
同業各社は複合機ビジネスをキャッシュ・カウと位置づけ、成長投資に振り向ける戦略を進めてきた。
キヤノンは2016年に医療機器大手の東芝メディカルシステムズを買収。富士フイルムホールディングスはバイオCDMO(医薬品の開発・製造受託)分野の設備投資に巨費を投じ、成長柱に据えている。既存事業の収益をテコに、ポートフォリオの転換に舵を切る。
コニカミノルタも新たな柱を見つけようとM&A(合併・買収)に乗り出したが、その数年後には敗戦処理に入ることとなった。背景には、2つの大きな誤算がある。

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