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コニカミノルタ社長が明かす生存戦略「効率化と収益力で成長する」――紙出力は急激にゼロにならないから「規模を縮小しながら持続させる」

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大幸利充社長は2022年の社長就任から3年かけて構造改革を実施してきた(撮影:尾形文繁)

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複合機中堅メーカーのコニカミノルタは2017年、買収総額1200億円超を投じてプレシジョン・メディシン(精密医療)に参入したが、失敗に終わった(参考記事)。
2022年の就任以来、大幸利充社長は事業売却や人員削減といった構造改革を実施してきた。精密医療で戦略の柱だったアンブリー社で、2023年3月期に1000億円超の減損を計上。2025年にかけてアンブリー社含むアメリカ子会社2社を売却し、過去の戦略に区切りをつけた。
一方、主力の複合機事業では再編や協業の流れが表面化している。コニカミノルタは1月、富士フイルムビジネスイノベーションと複合機部品の調達を担う合弁会社を設立した。縮小均衡の複合機市場で成長戦略をどう描き、業界再編の行方をどう見ているか。大幸社長を直撃した。

3年間、ひたすら立て直してきた

――今年5月の決算説明会で「構造改革の完遂」を宣言しました。社長就任から3年かかりました。

やり切ったという事実にこそ、意味があった。構造改革は広げたものを閉じる作業であり、数値の大小や結果以上に実行の時間軸を重視してきた。

選択と集中を徹底し、当初の中期経営計画にはなかったグローバルな構造改革にまで踏み込んだ。まずは財務基盤を整えないと、次の成長戦略など始められないと覚悟し、3年間はひたすら立て直すことに注力してきた。

――撤退を決めたプレシジョン・メディシン(精密医療)を、どう総括しますか。

2015年頃から、いずれオフィス印刷出力が減っていくことは明らかだった。その備えとして新しい柱を急いでつくる必要があったが、それだけではない。

ちょうど国策としてもゲノムや個別化医療への機運が高まり、産業革新機構とともに投資に踏み切った。当時は資金的にもキャッシュが潤沢で、無借金に近い状態だった。だから「今動かなければ」という焦りは確かにあっただろう。そうした戦略投資の判断は間違ってはいなかったと思う。

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