佐川、相次ぐ巨額買収で積み上がる「のれん」リスク 拡大路線を突き進むが、償却負担に耐えられるか

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佐川急便の配達員
SGHDは宅配便以外の領域の拡大を中期目標に掲げている。国際事業の強化はその1つの策だ(撮影:今井康一)

佐川急便を傘下に擁するSGホールディングス(HD)は2月7日、半導体・電子製品の航空輸送に強みを持つ台湾のモリソン・エクスプレス社を買収すると発表した。買収額は9億ドル(約1386億円)で、株式の100%を取得する。取引は7月に完了する予定だ。

モリソン社は航空貨物市場で世界トップ20社に入る物流企業。世界94カ所に拠点を持ち、100カ国以上で事業を展開する。自らは輸送手段を持たず、航空会社などに貨物を委託して運ぶ事業者(フォワーダー)だ。

創業期から台湾の半導体製造のEMS(電子機器製造受託)企業を中心に事業を展開しており、それが最大の特徴だ。上流工程の部材から完成品の物流まで事業を広げ、6000社以上と取引がある。2024年の売上高は約1443億円、営業利益は約54億円だった。

SGHDにとっては、昨年に1200億円超を投じて子会社化した、低温物流事業を担うC&Fロジホールディングスに続く大型買収となる。

現在の国際事業とほぼ重複せず

現在、SGHDの国際物流事業はスリランカのエクスポランカ社が担っている。同社はアパレルや日用雑貨の海上国際輸送が中心で、モリソン社とは事業の色合いが異なる。SGHDで国際事業を担当する松本秀一社長は「得意とする領域と顧客が重複していないことが本件の最大のメリット」と語る。

モリソン社のネットワークを生かして、新たな顧客にアプローチすること。ヨーロッパや東アジア、北米を強化すること。半導体業界の顧客を日本側へつなぎ、国内でも事業拡張を進める点などが買収の狙いだ。

SGHDは国際物流事業について、2023年度に1773億円だった営業収益を、2030年度に約6000億円へ拡大する計画を掲げる。今後も複数件の買収を視野に入れているようだ。

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