佐川、相次ぐ巨額買収で積み上がる「のれん」リスク 拡大路線を突き進むが、償却負担に耐えられるか
買収攻勢をかけるSGHDだが、懸念は投資を回収できるのか、だろう。同社の株価(終値ベース)は2月7日の1455円から、翌営業日の2月10日には1446.5円へやや下落。その後も目立った動きはなく、買収が積極的に評価されているとは言いがたい。
1つのポイントはのれんだ。買収額からモリソン社の純資産を差し引いたのれんは約6.73億ドルと、1000億円を超える規模となる。一方、会社側はのれんについて1000億円を下回るとの見立てで、償却年数は未定としている。
松本社長は「仮に20年で償却するとして、のれん負け(償却額が利益額を上回る)することはない。モリソンはハイテク、半導体が得意。成長率が高く、利益率は上がっていくと思っている」と語っている。
会社が抱えるのれんは1800億円程度に
しかし、SGHDが抱えるのれんはこれだけではない。TOB(株式公開買い付け)合戦を経て、1200億円超で昨年買収したC&FロジHDでも、約750億円ののれんを計上している。

2024年12月末時点で、バランスシート上ののれんは834億円。モリソン社の1000億円近いのれんが加わると、合計1800億円程度に膨らむ。
20年間での償却なら、毎年約90億円を償却していく計算になる。これは今期の営業利益予想(900億円)の1割にあたる大きな負担だ。また、買収した会社が事業計画を下回れば、減損損失を計上する可能性もある。株式市場はこうしたリスクも見据えているようだ。
4月からは新たな経営体制が発足する。佐川急便の本村正秀社長がSGHDの代表取締役副社長に就任し、C&FロジHDとのシナジー創出を担当する。松本社長は引き続き国際事業の拡大を進める形だ。
SGHDとしては、のれんの償却に負けないためにも、C&FロジHDでも、モリソン社でも、早期にシナジーを創出し、利益率を高めていくことが欠かせない。2025年度は、結果が厳しく問われる段階となりそうだ。
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