鉄鉱石の巨大な権益を取得た三井物産。今後、資源、エネルギー分野からの利益貢献が拡大していく。が、価格変動の大きな資源ビジネスを株式市場は嫌う傾向がある。市場との対話をどう進めていくのか。
西オーストラリア州のピルバラ地区。どこまでも赤褐色の砂漠が広がるこの地区では、世界の資源メジャーがこぞって鉄鉱石の開発にいそしんでいる。三井物産は1965年のローブリバー・ジョイントベンチャー(JV)への出資以来、黎明期から当地区の鉄道・港湾インフラ建設を含む鉱山開発に携わってきた。
「三井物産との関係なくして豪州鉄鉱石開発の歴史は語れない」。ローブリバーJVのパートナーである鉄鉱石最大手の資源会社リオ・ティントのある幹部はそう話す。
ピルバラ地区には「ローズリッジ」と名付けられた未開発鉱床がある。地中に眠る鉄鉱石は68億トンと世界最大規模。しかも平均鉄分は61.6%と、他鉱山に比べて高品位だ。
権益はリオ・ティントが50%を保有し、残る50%を豪VOCグループと豪AMBホールディングスで保有していた。三井物産はVOC、AMBから計40%の権益を約8000億円で買い取る。2030年までに生産開始予定で、開業すれば年産4000万トン、将来的には1億トン超を見込む。
「鉄鉱石需要は増え続ける」
折しも世界最大の未開発鉱床である西アフリカ・ギニアのシマンドゥ鉱山(年産1.2億トン)が開業を控えている。需給の緩みが懸念されるタイミングだが、「鉄鉱石需要は増え続ける」と三井物産金属資源本部の稲室昌也本部長はみる。
実際、今後5年間でオーストラリアを中心に大型鉱山の閉山が相次ぐ。還元鉄製造で鉄鉱石が必要とされることも変わらない。


















