三井物産が資源事業で過去最大の投資を断行、オーストラリアで鉄鉱石の権益拡大に走る理由とは?

「世界の粗鋼生産は年間約19億トンで、そのうち10億トンが中国だ。今後、中国の生産は減っていくが、インドや東南アジアでの需要が伸び、2050年までに粗鋼生産自体は24億トン程度まで伸びる見通しだ」
三井物産の稲室昌也金属資源本部長は言う。
折しも2025年には世界最大の未開発鉱床であるギニアのシマンドゥ鉱山(年産1億2000万トン)が開業を迎える。需給の緩みも懸念されるタイミングだが、今後5年間で豪州を中心に大型鉱山の閉山が相次ぎ、還元鉄製造でも依然として鉄鉱石が必要とされることなどから、鉄鉱石需要は増え続けると稲室氏はみる。
「将来は電炉の比率が上がり、還元剤である石炭はガスや水素などに置き換えられるため、需要は減る。鉄スクラップには不純物が多く、品質が高い鉄を作るためには鉄分は必要となる」(稲室氏)
三井物産は2000年代初めから豪州ローズリッジの未開発鉱床の権益獲得に動いていた。この鉱山には未開発鉱床としては世界最大規模となる68億トンもの資源が眠る。
過去最大の巨額投資
三井物産のこれまでの最大投資案件はシンガポールの民間病院チェーン・IHHヘルスケアへの3200億円の出資だった。この投資で市場からは「資源一本足打法からの脱却か」と評価されたが、今回のローズリッジへの投資はIHHの2倍以上の規模になる。
三井物産は2024年度、9003億円の純利益を稼ぎ出したが、そのうち半分は金属や天然ガスなどの資源分野が稼ぎ出している。特に鉄鉱石の権益は、国内では大手商社や製鉄メーカーと比較しても断然トップだ。

記事全文を読むには有料会員登録が必要です。
(残り 1693文字 です)
【9/30(火)まで】 年額プラン2,000円OFFクーポン 配布中!
詳細はこちらから
無料会員登録はこちら
ログインはこちら