双日・植村社長が語る「ウズベキスタンのインフラ開発に1500億円」の成算
ベトナムに次ぐ新たな「牙城」を構築できるのか。
大手商社の双日がウズベキスタンへの投資を強化している。2026年稼働予定の火力発電所の建設を皮切りに、風力発電所の建設、空港や病院の建設・運営事業への参入を決めた。今後5年余りで総額10億ドル(約1500億円)を投じる予定だ。
中央アジアに位置するイスラム国家で、1990年代初めにソビエト連邦から独立したウズベキスタン。日本よりも2割ほど大きい44万8900k㎡の国土に3600万人が住む。シルクロードの要衝だった古都・サマルカンドで知られている。16年に就任したシャフカト・ミルジヨエフ大統領の下、外資系企業の直接投資の呼び込みを進めており、経済発展が著しい。24年のGDP成長率は6.5%だった。
こうした流れに乗るべく、双日は22年から火力発電所事業に参入。ウズベキスタン国営送電公社と25年間の売電契約を締結し、翌23年から火力発電所の建設を開始した。26年からの稼働を見込む。ウズベキスタンでの事業投資は、日本企業としては第1号案件となった。
「政府関係者は交渉や対応などに柔軟性があり、実務的だ。政府としても、着実にプロジェクトを進める双日を評価してくれるようになった。火力発電所事業がきっかけとなり、ウズベキスタン政府との関係性が濃くなっていった」
双日の植村幸祐社長はそう語る。首都タシケントの駐在員事務所は旧日商岩井時代の03年に閉じていたが、ウズベキスタンでの事業を加速させるため、24年7月に再び事務所を設置した。
ベトナムの次の開拓地
双日の前身である日商岩井は86年、西側諸国として初めてベトナムに駐在員事務所を開いた。南北に長いベトナムをつなげるために必要だった卸売り・物流事業を軸に、コンビニや肥料など小売り領域や、牛の肥育まで行う牛肉加工工場の運営にも進出した。
40年近く根を張ってきたベトナムの次の開拓地として、双日は経済成長著しいインドに着目。すでに鉄道建設事業などに取り組んでいる。ただ、許認可などで想定以上に遅れがあり、植村社長は「思ったとおりには事業を進められていない」と明かす。
一方、ウズベキスタンでは「政府関係者が実務的にプロジェクトに取り組んでいる。戦略的に民間外国資本を取り入れており、交渉にスピード感がある」(植村社長)という。



















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