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〈インタビュー〉丸紅の大本社長が明かす「時価総額10兆円クラブ入り」の意図と「3年間で1.7兆円投資」の根本原則

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丸紅の大木社長
おおもと・まさゆき/1969年生まれ。1992年に早稲田大学商学部卒、丸紅に入社。主に電力畑を歩む。2006年マッキンゼー・アンド・カンパニーに転職、1年半後に丸紅に再入社。2019年、次世代事業開発本部の初代本部長に就任。執行役員、常務執行役員を経て、2025年4月より現職(撮影:梅谷秀司)
3強を脅かす存在になれるのか――。5大商社の一角をなす丸紅は、2025年2月に新たな中期経営戦略を掲げ、「2030年度には時価総額10兆円以上を達成する」と公言した。足元で時価総額10兆円を超える総合商社は伊藤忠商事と三菱商事の2社にとどまる。
新中期経営戦略を牽引するのが、今年4月から経営トップを担う大本晶之社長。55歳という若さで抜擢され、5大商社で最年少の社長となった。入社以来、丸紅の強みである電力畑を歩み、直近では次世代事業開発本部長を務めていた。マッキンゼー・アンド・カンパニーへ転職し、出戻りした異例の経歴を持つ。
柿木真澄会長は、トップ交代会見時に大本社長を「鬼軍曹」と表現した。インタビューで大本社長は笑いながら否定したが、「私は投資の精度に厳しい。妥協をしない審議を徹底している」とも明かす。「私のミッション」とする時価総額10兆円をどのように達成するのか、その筋道を聞いた。

――2025年2月に発表した中期経営戦略「GC2027」で、2030年度までに時価総額10兆円を超える目標を公表しました。なぜ時価総額を目標にしたのでしょうか。

前任の柿木真澄会長は時価総額を1兆円から5兆円にまで上げた。10兆円という次のステージに行くのは私のミッション。ふわっとした言葉ではなくて目標を明確にするという意味で掲げた。社員に対しても、もっと高いところを目指していこうという意味もある。

丸紅として中期経営戦略で時価総額を目標に掲げるのは初めてのことだ。「GC2021」(2019〜2021年度)では、「2030年に向けた長期的な企業価値向上を追求する」と表現していた。当時から10年で時価総額を10倍ほどにするという秘めたる野望があった。

しかし当時の時価総額は1兆円だったので、誰も信じなかったかもしれない。だが、私が社長を引き継いだ時には時価総額が4兆円程度で、計画どおりにきていた。今なら社員も心を込めてやってもらえると思っている。事業も人材もいちばん伸びていく企業だと示すことができる目標だ。

2030年度には純利益8000億円台に

――5大商社の時価総額では、伊藤忠商事、三菱商事、三井物産が10兆円前後で先行しています。3強に並ぶという意気込みが感じられます。

他社さんのことを意識しないということを大切にしている。自分たちの企業価値向上のために独自路線で考え抜くことを大切にしている。時価総額10兆円になったから5大商社の中で何番、ということではなく、あくまで通過点でしかない。もっと上があると思っている。

5大商社の時価総額

――時価総額10兆円を達成するには、連結純利益の拡大やPER(株価収益率)向上が必要です。

収益成長は二桁成長をしっかり続け、2030年度には純利益8000億円台にしたい。当社はかつてPERがもっとも高かったタイミングでは15倍程度あった。(時価総額10兆円のために必要な)12~13倍は過去に達成しているレベルだ。PERを引き上げていくことは私の役割だ。

投資においては、GC2027において発信しているとおり、勝ち筋に経営資源を投下していく。資本配分を「戦略プラットフォーム型事業」、インフラ事業、ファイナンス事業、資源事業と4分類している。

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