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〈核心〉三菱商事洋上風力はどこで挫折したのか 安値受注が招いた「国策頓挫」の舞台裏で起きていたこと

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導入拡大へ強い期待が寄せられてきた洋上風力だが、その先行きが危ぶまれている。写真は北九州響灘ウインドファーム(北九州市)建設の様子(2025年8月=編集部撮影)

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世界的なインフレや為替、金利の激変を背景に、三菱商事が国内洋上風力発電事業からの撤退を表明したことが、業界内外に大きな波紋を広げている。経営環境が不透明感を増す中、各商社のビジネスにはさまざまな異変が起きている。いま総合商社で何が起きているのか、深層を探る。第1回目は、国策でもある洋上風力がなぜ、挫折したのか、その核心に迫る。

10月1日夕方、オンライン形式で開かれた経済産業省などの合同審議会は、いつにない緊迫感に包まれていた。三菱商事陣営の秋田・千葉県3海域の洋上風力撤退をめぐり、国の検証が始まったのだ。が、三菱商事からのヒアリングは非公開。三菱商事が提出した資料も非公表で、何が議論されたのか、外部からはまるでわからない。

ヒアリング終了後の全体質疑の中で、木村琢麿委員(千葉大学大学院教授=公法学)は「(三菱商事は)一定の説明責任があるというのが常識的な認識だ」と厳しく指摘した。非公開の審議にもかかわらず、三菱商事は「守秘義務」を理由に「歴史的インフレなどが要因」とする記者会見の説明を繰り返し、踏み込んだ議論は行われなかったようだ。

日本の次世代エネルギーの嚆矢となるプロジェクトが危機に瀕しているにもかかわらず、その要因の検証すらままならない。

価格を巡ってGEと決裂

三菱商事が説明するようにインフレや為替の変動などは確かに大きな要因だが、それは背景にすぎない。プロジェクトはどこで、なぜ、頓挫したのか――。

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