政府が進める気候変動対策を経済成長の起爆剤に。企業の環境情報開示は広がるが、GX経済移行債は伸び悩む。規制やルール変更で後押しを
企業の環境情報開示は広がるが、GX経済移行債は伸び悩む。日本政府は規制やルール変更で後押しを。
「地球規模でのさまざまな課題に対して新たな価値観を生み出し、持続可能な未来を構築する」ことをテーマとした大阪・関西万博が成功裏に閉幕した。
この夏の暑さを思い出すだけでも持続可能な未来への確信はそうとう危うくなる中、地球規模での課題解決が求められ続けることは変わらない。しかし、気候変動対策は遅々として進まない。そもそも政府には本気で気候変動対策を成長の起爆剤にする覚悟があるのか。いくつか指摘したい。
企業に対するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)での開示要求はどんどん進むが、グリーンボンド市場には大きな進展が見られない。鳴り物入りで発行されたはずの日本政府のGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債はそれほど投資家の人気を集めていない。通常の日本国債と比べて金利上乗せもなく、発行体にとってのリポーティングと投資家から見たモニタリングはそれぞれコスト増となる。
投資家が買いたくなる仕組みを
GX経済移行債を発行し、GXに資金を投下していく覚悟が本物なら、投資家が買いたくなるような仕組みが要る。個人投資家向け発行に加え、機関投資家に刺さるよう金額に応じた排出権を付与する、レポの掛け目が有利になるなど、資金調達が活発になるような“おまけ”をつける工夫はいかがか。
循環型社会をつくり、80兆円市場を達成する目標もある。サーキュラーエコノミー(循環経済)なる考え方で、重要なものだ。日本の経済成長に資するだけでなく、使い終わった製品から白金などレアメタルを取り出し再利用できれば、経済安全保障の観点でも必要不可欠なツールになりうる。



















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