地球温暖化抑止のCOP29、「気候資金」確保が焦点 WWFジャパン・小西雅子氏に課題と展望を聞く
11月11日から、中央アジアのアゼルバイジャンで気候変動問題に関する政府間交渉のCOP29が開催される。気候変動問題の専門家である小西雅子氏に注目点を聞いた。
――今回のCOP29ではどのようなテーマが注目されますか。
「気候資金」と呼ばれる、気候変動対策で必要な資金に関する新たな目標の設定、および野心的な2035年の削減目標提出に向けた機運の醸成、炭素市場に関する詳細なルール作り、非国家アクターの動きなどに注目している。
COP29は別名、「資金COP」とも呼ばれる。開発途上国における温室効果ガスの排出削減や気候変動への適応支援のために、どれだけの資金総額が必要であり、かつ提供で合意できるかがカギを握っている。
――気候資金はなぜ重要視されているのでしょうか。
温室効果ガスの削減を進めるためには、再生可能エネルギーの導入などエネルギー構造の脱炭素化などに多額の資金が必要とされている。また、地球温暖化による経済・社会への影響が不可避である中で、水害の防止や熱波などへの対応といった適応と呼ばれる分野でも資金の確保の必要性が高い。
しかし、途上国は気候変動の影響を受けやすい一方で、財政面で余裕がないため、先進国や民間セクターからの支援を必要としている。そこで気候資金の重要性が指摘されている。
気候資金めぐり、途上国が厳しい視線
――これまでも気候資金の確保に向けて、さまざまな取り組みが進められてきました。
気候資金をめぐる交渉の歴史は長い。2009年のデンマーク・コペンハーゲンでのCOP15では「2020年までに年間1000億ドル規模の資金を動員する」という合意がなされた。これには、政府など公的セクターのみならず、民間の資金も含まれていた。
しかし、2020年時点で年間1000億ドルの目標は達成できず、2年遅れて2022年にようやく1000億ドルを上回った。当初の約束が果たされなかったこともあり、地球温暖化の主たる原因を作っている先進国に対する途上国の視線は厳しい。
2025年以降の目標については今回のCOP29で決めることになっている。そのため、気候資金の規模やあり方は今回、最も注目されるテーマの一つとなっている。
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