日本はどうする?欧州が温暖化ガス9割減案を提示 野心的な目標を掲げ、域内産業の移行を支援
この90%という数値がEUの正式な削減目標となるかどうかは、6月の欧州議会議員選挙後に発足する新欧州議会と欧州委員会にかかっており、予断を許さない。
しかしEUが脱炭素化政策をさらに強化することで、今一度パリ協定の下で脱炭素経済の先頭を走り、域内経済の浮揚を図るという政治的意欲があることは間違いない。その背景をひもとき、日本はどう対応するべきかについて、考えていきたい。
なぜEUの目標時期は2040年なのか?
脱炭素経済に詳しい人ならば、世界全体の脱炭素化を長期目標とするパリ協定に沿って国連気候変動枠組条約事務局に提出する次の削減目標は、2035年目標ではないかと疑問に思うかもしれない。なぜならば、パリ協定では、5年ごとに削減目標を提出する決まりとなっているからだ。現在のパリ協定での目標の2030年の次は、2035年となる。
2023年末にアラブ首長国連邦のドバイで開催された第28回気候変動枠組条約締約国会議(COP28)では、現在、各国が提出している2030年目標について、世界全体の進捗状況が評価され、結果としてまだパリ協定の長期目標達成にはまったく足りていないことがあらわになった。各国はこの結果を踏まえて、これまでの削減目標を上回る2035年目標を、2025年早々に国連事務局に提出する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら