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GX(グリーン・トランスフォーメーション)は新たな段階に。経産省の旗振り役・伊藤GXグループ長が語る、「成長志向型」脱炭素戦略の中身

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GX政策について語る、伊藤禎則・経済産業省GXグループ長(記者撮影)
グリーン・トランスフォーメーション(GX)とは、脱炭素化を通じて社会や経済のあり方を変えていこうとする官民挙げての取り組みだ。経済産業省でその旗振り役を務めるのが岸田文雄政権で首相秘書官を務めた伊藤禎則氏。今年7月に同省イノベーション・環境局で脱炭素成長型経済構造移行推進審議官・GXグループ長に就任した伊藤氏に、合同インタビューをした。

──GXグループ長就任に当たっての抱負は。

今年1月のアメリカ・トランプ政権発足、世界的なインフレーションなど、国内外の情勢が大きく変化する中で、GXは新たにGX2.0のフェーズに入っていこうとしている。

現在、GX2.0の中身をどのようにし、メッセージをどう発信していくかについて、(私が所属する)経産省のイノベーション・環境局を挙げて検討している。私自身、その先頭に立ってGX2.0というコンセプトを示し、その進化を図っていきたい。

──そもそもGXとはどのようなものでしょうか。

私自身は岸田文雄政権時に首相秘書官を務め、GX戦略の策定に深く関わった。そもそもGXというコンセプトは、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとして打ち出したもので、エネルギー安全保障、脱炭素、そして経済成長の3つを同時に追求していくものだ。そうした中、GX2.0とも呼べる新たなフェーズに入ろうとしていると認識している。

エネルギーの自給率向上に力点

──GX2.0とはどのような進化形なのでしょうか。

アメリカのトランプ大統領は気候変動対策について「詐欺」とまで言い、衝撃を与えた。日本のGXは気候変動対策の側面もあるが、それだけでなく、もともとエネルギー安全保障の観点が非常に強い。

毎年、化石燃料の輸入という形で20兆~30兆円にも上る国富が流出している。しかも化石燃料の多くが、中東のホルムズ海峡というチョークポイントを経由して運ばれてきている。このリスクを少しでも減らすことが日本にとって重要であり、エネルギー安全保障の観点でもGXをしっかりと進めていく必要がある。

エネルギー安全保障といった時に中東を中心とする産油国・産ガス国との関係だけでなく、中国との関係についても考える必要がある。太陽光パネルを中心として、中国製品に過度に依存している現状も、エネルギー安全保障上の問題だ。そうした観点からも国産エネルギーを充実させ、エネルギーの自給率を高めていかなければならない。その切り札がGXだ。

GX2.0は、そういう意味では現行のGX1.0の延長線上にある。今申し上げたように、国産エネルギーの自給率向上といった視点も加えながら、さらにそれを日本の成長やイノベーションにつなげていく仕組み作りが重要になる。

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