GX(グリーン・トランスフォーメーション)は新たな段階に。経産省の旗振り役・伊藤GXグループ長が語る、「成長志向型」脱炭素戦略の中身

──GXグループ長就任に当たっての抱負は。
今年1月のアメリカ・トランプ政権発足、世界的なインフレーションなど、国内外の情勢が大きく変化する中で、GXは新たにGX2.0のフェーズに入っていこうとしている。
現在、GX2.0の中身をどのようにし、メッセージをどう発信していくかについて、(私が所属する)経産省のイノベーション・環境局を挙げて検討している。私自身、その先頭に立ってGX2.0というコンセプトを示し、その進化を図っていきたい。
──そもそもGXとはどのようなものでしょうか。
私自身は岸田文雄政権時に首相秘書官を務め、GX戦略の策定に深く関わった。そもそもGXというコンセプトは、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとして打ち出したもので、エネルギー安全保障、脱炭素、そして経済成長の3つを同時に追求していくものだ。そうした中、GX2.0とも呼べる新たなフェーズに入ろうとしていると認識している。
エネルギーの自給率向上に力点
──GX2.0とはどのような進化形なのでしょうか。
アメリカのトランプ大統領は気候変動対策について「詐欺」とまで言い、衝撃を与えた。日本のGXは気候変動対策の側面もあるが、それだけでなく、もともとエネルギー安全保障の観点が非常に強い。
毎年、化石燃料の輸入という形で20兆~30兆円にも上る国富が流出している。しかも化石燃料の多くが、中東のホルムズ海峡というチョークポイントを経由して運ばれてきている。このリスクを少しでも減らすことが日本にとって重要であり、エネルギー安全保障の観点でもGXをしっかりと進めていく必要がある。
エネルギー安全保障といった時に中東を中心とする産油国・産ガス国との関係だけでなく、中国との関係についても考える必要がある。太陽光パネルを中心として、中国製品に過度に依存している現状も、エネルギー安全保障上の問題だ。そうした観点からも国産エネルギーを充実させ、エネルギーの自給率を高めていかなければならない。その切り札がGXだ。
GX2.0は、そういう意味では現行のGX1.0の延長線上にある。今申し上げたように、国産エネルギーの自給率向上といった視点も加えながら、さらにそれを日本の成長やイノベーションにつなげていく仕組み作りが重要になる。
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