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GX(グリーン・トランスフォーメーション)は新たな段階に。経産省の旗振り役・伊藤GXグループ長が語る、「成長志向型」脱炭素戦略の中身

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──GXについて、政府では官民で10年間に150兆円の投資を見込んでいます。実際の動向は。

日本全国で、大型プロジェクトを中心として具体的なプロジェクトが動き始めている。

例えば、二酸化炭素(CO₂)多排出産業の代表格である製鉄業界では、大手鉄鋼メーカーが一部の高炉を閉じて、電炉に転換していこうとしている。造船業では、水素やアンモニアを燃料とする船舶などゼロエミッションに向けた新しい取り組みが進められている。

次世代太陽光発電のペロブスカイト太陽電池では、今年秋から積水化学工業が量産を開始する。これらの事例はいずれも、国債の一種である「GX経済移行債」を活用した先行投資の対象に位置づけられ、国からも支援をしていく。

──他方で、海外でのグリーン水素プロジェクトなど、頓挫する事例も少なからず見られます。

今年に入り産業界では、GX分野の投資に関して少し様子見モードにさしかかってきているという実感もある。そうした中で経産省としては、日本国内の投資促進を重点課題にしていこうと考えている。私が属するイノベーション・環境局を先頭に進め、企業経営者にしっかりと投資判断をしてもらうためにも政策支援を強化していく。

そのための手段が、150兆円の官民投資を実現するための呼び水としてのGX経済移行債を活用した政府による20兆円の先行支出、および排出量取引制度、いわゆる成長志向型カーボンプライシング構想を中心とする制度的な仕組み作りだ。

10年前、経産省や日本経済団体連合会は、カーボンプライシングの導入に大反対した。しかし時代が変わり、環境省の協力も得つつ経産省と産業界は一緒になって成長志向型カーボンプライシングを実現していく。

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