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経産省の再エネ政策キーマン「洋上風力では投資環境整備に全力」「水素支援策では3兆円の枠に30近い事業が応募」

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政策について語る伊藤禎則・経済産業省省エネルギー・新エネルギー部長(撮影:筆者)
伊藤禎則・省エネルギー・新エネルギー部長は、経済産業省において、省エネルギーや再生可能エネルギー政策の司令塔的な役割を担っている。岸田文雄前政権では首相秘書官を務め、GX(グリーントランスフォーメーション)政策を推進した。省エネや再エネ関連の施策に注目が集まる中、合同インタビューに応じた。

──2025年2月に第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました。省エネ、再エネとも重要分野ですが、どのように施策の実現に取り組んでいきますか。

省エネルギーはもともと日本のお家芸と言える技術だ。DX(デジタルトランスフォーメーション)とGXの接点に位置するものとも言える。デジタル技術を用いた省エネに資する技術、たとえば光電融合といった日本独自の技術が出てきている。そうしたデジタル技術を活用して省エネを進めていきたい。

他方、データセンターや生成AI(人工知能)といったデジタル関連分野そのものを省エネによって効率化していかなければならない。データセンターの省エネ化については現在、検討会で議論している。省エネ効果としても可能性が大きい分野であり、事業者と対話をしながらしっかりやっていきたい。

もう1つ、力を入れていきたいのが、地域の中小企業による省エネの取り組み支援だ。地域金融機関などと連携した「省エネ・地域パートナーシップ」という施策を進めている。200を超える地域金融機関と連携して中小企業の省エネを支援している。省エネ診断や人材育成といった取り組みもしっかり進めていく。

FIT制度「負の遺産」の払拭に全力

──再エネについては、2040年の電源構成(エネルギーミックス)のうち「4~5割程度」という見通しが、第7次エネルギー基本計画で示されました(2022年度実績は21.8%)。

かなり野心的な目標を掲げた。ただ、エネルギーミックスよりも重要なのが投資だ。前回の第6次エネルギー基本計画時までは人口の減少もあり、将来の電力需要は減少するとの見通しだった。しかし今回の第7次計画では、デジタル化に伴い電力需要が増えていくという予想に転換した。需要が増えていく中で、脱炭素電源への投資をどう確保していくか、政策を総動員しなければならない時に来ている。再エネ分野においても、投資環境整備が大きなキーワードになる。

──どういうことでしょうか。

再エネの拡大に当たっては、国民負担の抑制と事業者の採算性の両立がカギになる。国民負担を増やせば、(財源確保によって)事業者の採算性は改善する。しかし税をはじめ国民負担の軽減が叫ばれている中で、エネルギーコスト増を国民負担としてお願いすることは難しい。そこで次の2つの課題がある。

1つは、やや過激に聞こえるかもしれないが、再エネ固定価格買取(FIT)制度の負の遺産とどう戦っていくかということ。FIT制度の意義は大きく、制度がなければここまで再エネが増えることはなかった。他方で制度にまつわる高コスト構造がいまだに残っている。この負の遺産にどう決着をつけるかが課題だ。大きな方向性として、FITから(市場価格に基づく売電収入に一定の補助金を上乗せする)フィードインプレミアム(FIP)制度への切り替えを進めていく。

もう1つの重要な課題がイノベーションだ。次世代太陽電池、風力、地熱分野とも、技術開発によってコストを下げていかなければならない。そのための支援をしていく。

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