BNPパリバ幹部「2025年もグリーン債市場は成長」 欧州、アジアが牽引、脱炭素の潮流は不変
グリーンボンドなどサステナブルファイナンスの前途はどうなるのか。BNPパリバ アジア太平洋地域で、環境・社会関連など同分野の責任者を務めるチャオニ・フアン氏にインタビューした。
サステナブルボンドの発行は過去最高水準
――2024年のサステナブルボンド(債券)の市場動向は。
ブルームバーグおよび当社の調べによれば、2024年の新規発行額は11月1日時点で約8560億ドルに達し、2023年の同時期の約8000億ドルを上回っている。過去最高だった2021年の同時期(約8420億ドル)よりも多く、市場は堅調だと言える。
最も多くの投資資金を集めているのが、再生可能エネルギーへの投資など、脱炭素関連を中心としたグリーンボンド(債券)で、サステナブルボンド全体の56%を占めている。社会課題の解決を目的としたソーシャルボンド(債券)も堅調で15%を占めており、グリーンとソーシャルの複合要素を持つ債券の構成比は2023年同時期の18%から2024年の同時期は23%へと大きく伸びている。
加えて注目すべきなのが、脱炭素経済への移行過程での投資に充当することを目的としたトランジションボンド(債券)というカテゴリーだ。サステナブルボンド市場全体の約2%と割合はまだ小さいが、日本政府はGX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債という新型の国債を発行し、この分野を牽引している。
――サステナブル投資に関する、ヨーロッパやアメリカ、アジアなど各地域の動向は。
サスタナブルボンドでは、ヨーロッパが起債の中心地となっている。2024年11月1日時点までの10カ月間では、ヨーロッパおよびアフリカ・中東地域が新規発行額の46%を占め、アジア太平洋が28%と、それに続いている。こうした市場では、サステナブル投資の意欲は旺盛だ。
これに対して北アメリカは6%に縮小している。アメリカではESG(環境・社会・ガバナンス)投資は難しい状況が続き、サステナブルボンドへの投資マインドは冷え込んでいる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら