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電力会社の一般担保付社債制度が廃止に、民間に依存する原子力政策のリスク負担の再考が必要だ

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関西電力の美浜発電所。東日本大震災後に再稼働した14基の原発のうちの1基だ (写真:PIXTA)

2月18日に第7次エネルギー基本計画が策定された。再生可能エネルギーを最大電源とする目標を立て、脱炭素化を推進する野心的なものだが、2040年度の電源構成は火力発電が3~4割、原子力が2割と見込む。

原子力発電は脱炭素の文脈では優等生だが、東日本大震災以降、政治的なマターになりやすく、震災後15年目となった今も稼働はままならない。今年3月現在、建設中の3基を含めた全36基のうち、震災後に再稼働を果たしたのは14基にとどまる。

震災を契機にした「原子力をどうするか」という問題は、結論が出たように見えて、はっきりと態度が示されないまま、ずるずると延ばされてきた面が否めない。しかし、日本としての原子力の位置づけを考えるべしとし、ここに改めて問題提起する。

一般担保付社債制度の廃止で何が起きるか

時は5年前にさかのぼる。4月1日から始まった大手電力会社の送配電部門の分社化は、記憶に残っている人も多いのではないだろうか。電力の完全自由化を目指し、電力システム改革の第3弾として電気事業法が改正されたことに伴った措置である。

その際、全面自由化された市場における対等な競争条件(イコールフッティング)を確保する観点から、当時電力会社に認められていた一般担保付社債制度の廃止も決定された。

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