東京都にJR東、「サステナブル債」の野心的狙い 脱炭素、防災対策加速へ海外資金を導入

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環境対応や社会課題向けの資金を調達するサステナブル債の発行額が世界レベルで過去最高水準に回復する中、日本でも起債が相次いでいる。東京都はユーロ建てサステナビリティボンドを発行、JR東日本は新幹線の新型車両導入などのためにグリーンボンドで資金調達した。その狙いや成果について検証した。

ユーロ建てサステナビリティボンドの発行を手がけた東京都財務局主計部公債課のメンバー(撮影:風間仁一郎)
環境対応や社会課題向けの資金を調達するサステナブル債の発行額が過去最高水準に回復する中、日本でも起債が相次いでいる。
※本記事は1月12日6:00まで無料で閲覧できます。それ以降は有料会員限定となります。

脱炭素化や防災対策などで、海外投資家の資金を呼び込もうという動きが活発になってきた。

2024年9月、東京都は16年ぶりとなるユーロ建て債券(無担保、5年、表面利率2.625%)を発行。ヨーロッパの機関投資家などに東京都の環境・防災などの取り組みを説明し、3億ユーロ(約487億円)の資金を調達した。

JR東日本は2023年から2年続けてユーロ建てグリーンボンドを発行。EU(欧州連合)の環境配慮基準である「EUタクソノミー」に適合しているとのセカンドパーティーオピニオン(外部評価)を取得し、投資家にアピールした。

シティグループの調べによれば、再生可能エネルギー投資など環境対応を資金使途としたグリーンボンドや、防災など社会課題向けのソーシャルボンド、環境・社会両方の要素を持ったサステナビリティボンドなどからなるサステナブルボンド(ESG債)の2024年の発行額は、12月初旬時点で2021年に次ぐ史上第2位となった(次ページグラフ参照)。

「過去数年、アメリカを中心に各国で金利が上昇し、債券発行の見送りが相次いだが、ここへ来て利下げ局面に転じたことから2024年は世界規模で債券発行の機運が高まった」(シティグループ証券の青木広明・投資銀行部門・事業法人本部ディレクター・ESG/サステナビリティ責任者)。

東京都がユーロ建てサステナビリティ債発行

日本の企業や公共機関も海外での起債環境の変化をとらえ、サステナブルボンドの起債を積極化させている。東京都の取り組みもその一例だ。

「2024年度、日本の自治体で初めて海外で発行したサステナビリティボンド(環境・社会複合型)は、ヨーロッパを中心に幅広い投資資金の獲得につながった」

東京都の小池百合子知事は2024年12月3日、第4回都議会定例会の初日の所信表明で、ユーロ建てサステナビリティボンドの発行について、成功だったとの認識を示した。

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