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〈インタビュー〉グリーンパワーインベストメント青山専務、三菱商事の洋上風力撤退を「8割方は確信していた」事態と語る

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グリーンパワーインベストメント専務
青山 伸昭(あおやま・のぶあき)/1954年生まれ。一橋大学法学部卒業。77年新日本製鐵(現日本製鉄)入社。日鉄エンジニアリング常務などを経て2023年からグリーンパワーインベストメント専務。洋上風力人材育成推進協議会の副会長・運営委員長や日本風力発電協会の洋上風力部会長も務める(写真:記者撮影)
三菱商事を中心とする企業連合は8月、国内3海域(秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖)における洋上風力発電プロジェクトからの撤退を決めた(詳細はこちらの「洋上風力の失敗」に)。
三菱商事連合は公募の第1弾(第1ラウンド)で事業者として選定されていた。インフレや円安の進展などにより、応札時の2021年5月と比べて建設コストが2倍超に膨らんだことを理由としている。
撤退は国内洋上風力産業にどのような影響を及ぼすのか。国内では北海道・石狩湾新港など洋上風力プロジェクトを手がけるグリーンパワーインベストメントの青山伸昭専務に話を聞いた。
青山氏は1977年に新日本製鐵(現日本製鉄)に入社。エンジニアリング事業を中心に歩み、サハリンプロジェクトなど海洋石油・ガス開発のプロジェクトマネージャーを務めた。洋上風力の石狩湾新港プロジェクトでもプロジェクトダイレクターとして携わるなど、プロジェクト開発の知見が豊富だ。

――三菱商事陣営の3海域からの撤退をどう受け止めましたか。

こうなると8割方は確信していた。(三菱商事陣営の落札した)価格自体が成り立たない。ほかの応札した企業のことをよく知っているが、まじめに検討してきた彼らより、どうして売電価格が1キロワットアワー(kWh)当たり5円、6円も安いのかと。普通ならありえないと思っていた。

三菱商事がどういう面白いアイディアを出すのかと期待はしていた。だが、そうはならなかった。

――三菱商事陣営の応札時の価格は妥当だったと思いますか。

これまでエネルギー関連プロジェクトのEPC(設計・調達・建設)を手がけてきた経験がある。だから大体、コストが読める。

とくに千葉県銚子沖は海底地盤や海象条件の点で難易度が高い。そういうことを考えると1kWh当たり16円で、できるわけがない。応札時点の事業環境が続いていたとしても事業は難しかったのではないか。

日本市場が疑問視されている

――三菱商事は撤退の理由として、応札時と比べて2倍超にコストが膨らんだと説明しています。一方、洋上風力大手のデンマークのオーステッド社はイギリスでのコストが平均18%増加したとしています。三菱商事の2倍という数字については?

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