〈波乱の洋上風力〉三菱商事が国内3海域プロジェクトから撤退、落札時に「絶対にこけられへんで」と鼓舞した中西社長が会見で語ったこと

「3海域すべて撤退という判断に至ったことは日本の洋上風力導入に後れをもたらすもので遺憾である。地元関係者は地域経済の波及効果を含めて洋上風力に期待しさまざまな協力をしてきた。地元の期待を裏切るものであり、洋上風力の信頼を揺るがしかねない案件だと考えている」
三菱商事は8月27日、国内3海域(秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、秋田県由利本荘市沖、千葉県銚子市沖)における洋上風力発電事業の開発から撤退することを発表した。同日夕方、三菱商事の中西勝也社長が経済産業省に撤退を報告すると、武藤容治経産相は冒頭のように懸念を表明した。
三菱商事は2024年度に3海域の事業に関して減損損失524億円を計上していた。そのため追加の損失が生じても限定的であるという。ただ、撤退違約金として、保証金200億円を国に没収される。
陣頭指揮を執った案件で撤退を判断
洋上風力発電は「日本の再生可能エネルギー普及の切り札」とされ、国はこれまで国内10の一般海域を「促進区域」に指定。海域ごとに公募を実施してきた。落札した発電事業者はその海域を最大30年間占有できる。
これまでの3回の公募では競争入札が行われてきた。2021年に結果が発表された「第1ラウンド」は、三菱商事を中心とする企業連合が3海域を“総取り”した。
中西社長は2022年4月に社長に就任したが、その前は電力部門のトップを務めており、3海域の入札において陣頭指揮を執っていた。
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