有料会員限定

〈インタビュー〉伊藤忠商事・石井社長が示す「右肩上がりの年10%利益成長」の道筋と伸ばせる領域

✎ 1〜 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
伊藤忠商事・石井社長
伊藤忠商事の石井社長は、利益水準をさらなる高みに引き上げるために「経営陣も現場も危機感を持っている」と話した(撮影:尾形文繁)

特集「商社大異変」の他の記事を読む

「打倒財閥」に闘志を燃やし、今2025年度は5年ぶりの総合商社純利益トップが視野に入る伊藤忠商事。石井敬太社長は「右肩上がりの成長」を標榜する。だが、来年度以降も増益を続けるのは容易ではない。石井社長の成算を聞いた。

――今2025年度は5年ぶりに総合商社純利益トップとなる見通しです。今年度計画の純利益9000億円に向けての手応えは?

第1四半期(4~6月期)は、(タイの最大財閥チャロン・ポカパングループ中核企業)CPPの株を売却した利益が出たことにより、同四半期として過去最高益となった。

それを除く基礎収益は、資源系で25年後半から26年に利益貢献するはずだったオーストラリアの炭鉱やアメリカの原料炭設備で事故が起き、スタートダッシュが想定より半年遅れている。フィンランドの製紙用木材チップ事業も少し不調だ。

一方の非資源は比較的順調に伸びている。懸案だった青果事業のドールは好調だ。24年は干ばつや台風、大雨があってバナナの収穫がうまくいっていなかった。だが今年はちゃんと収穫できていて、数量を確保できている。パイナップルも順調だ。

それらを合わせた基礎収益全体としては伸び悩んでいるように見える。ただ、第2四半期(7~9月期)は事故による資源系のマイナスが緩和される。

時価総額でもうちが勝てる

――今年度は純利益、ROE(自己資本利益率)、時価総額のいずれもトップとなる「3冠」を目指しています。しかし時価総額では、三菱商事が1兆円の自社株買いを今年度実施していることもあり、後塵を拝しています。

商社は株主還元ブームで、その競争からは少し出遅れている感はある。今後の方針はまだ決めていないが、還元がトップスリー(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事)の中でちょっと見劣りしているのは意識している。

ただ、24年4月に打ち出した経営方針では配当について、配当性向30%または、1株当たり200円のいずれか高いほうとしている。

下限は将来の収益水準も見据えて200円だ(取材後の11月5日に25年度の配当は株式分割前の基準で1株210円と発表)。自社株買いも含めた総還元性向は40%以上としていたが、24年度は約50%の実績、25年度も経営方針を上回る50%メドとしている。

IRを含めて投資家に会社の現状をしっかりアピールして、実績をちゃんと評価してもらえれば、(時価総額でも)うちが勝てると思う。

次ページ来年度以降の成長のイメージは
関連記事
トピックボードAD