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丸紅が漫画業界に急接近、三菱商事はセガ・タカラトミーとタッグ。白熱のIPビジネス(2)

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開発を進める『葬送のフリーレン』(小学館)などの商品(写真:MAG.NET)

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海を越えて世界的活況を呈するキャラクターやアニメなどのIP(知的財産)ビジネス。実は5大商社もこぞって参入し、事業展開を加速している。その最前線を2回にわたってお届けする。後編は漫画業界に急接近する丸紅の思惑と、6年ぶりにIP事業を再起動した三菱商事、三井物産が中国やインドで仕込んでいるビジネスを追った。

エンタメ業界の古参プレーヤーを自任する住友商事、ここ数年で急速に実績を積み上げる伊藤忠商事とは別の意味で、高い注目度を誇るのが丸紅だ。

同社は2024年6月、小学館と日本の漫画・アニメコンテンツのグッズ開発・販売や海外流通網の構築などを担う合弁会社「MAG.NET」を設立した。今年10月には、MAG.NETがアメリカの小売企業・BoxLunchと、日本の漫画原作商品の拡大に向けて、戦略的パートナーシップを発表した。

BoxLunchはアメリカで280店舗以上を運営し、映画・アニメ・ゲームなどに関連したアパレルやアクセサリー、雑貨などの幅広い商品を取り扱っている。今回のパートナーシップに基づき、26年1月からTシャツやキャップなど、人気漫画の関連商品を販売することが決定。まずは、小学館の『葬送のフリーレン』と『犬夜叉』、『らんま1/2』、『うずまき』の商品を用意する。

マンガの原作版権を最大限活用

「一言でいうと、原作版権の活性化が狙いだ」。丸紅の次世代事業探索・開発室の中村誠室長代理は、MAG.NETについてそう明かす。

現状、出版社の漫画やライトノベルといったIPは、アニメ化によって認知を拡大し、その後にグッズビジネスが本格化するのが定石だ。しかし、アニメスタジオの制作キャパシティーが逼迫する中、アニメ化が確定してから放映・配信されるまでに3年程度かかるケースもざらにある。その結果、海外ではアニメ化前に海賊版グッズが出回るありさまだ。

そこで、MAG.NETは出版各社の原作版権を活用し、海外でのOEM(相手先ブランドによる生産)によるグッズ化から、小売店の売り場開発まで手がけるビジネスに乗り出し、グッズの「流通正常化」を図る。

丸紅はアパレルをはじめとする既存事業において、関税水準などの市場適合性や製造・物流コスト、品質といった観点から、最適なOEMパートナーを選定することを得意としてきた。すでにアメリカや中国、ドイツなどの拠点でコンテンツ関連の業務をサポートする丸紅側の人員を確保しているという。

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